2014
10.11

Panamá Viejo パナマ・ビエホ (世界遺産)

パナマビエホ

中米のパナマは太平洋と大西洋、そして南北アメリカをつなぐ地理的に重要な場所。16世紀にスペイン人探検家によって太平洋が“発見”されると、町が築かれて栄えます。1519年にスペインが太平洋岸で最初の植民都市を作ったのがここ Panamá Viejo パナマ・ビエホ なんです。町は海賊の襲撃によって廃墟となってしまいましたが、修復が進められユネスコ世界遺産として保護されています。

Museo de Panamá Viejo

パナマ・ビエホの遺跡に行く手前に博物館があるとのことで、まずはこちらに連れて来ていただきました。
Museo de Panamá Viejo パナマビエホ博物館 です。

Patronato Panamá Viejo Museo

中は小ぢんまりしており、パナマで出土した土器などを展示しています。
写真撮影禁止って書いてありますが、ガイドと一緒なら撮っても問題ないとのこと。英語の説明もありました。

ミュージアム

パナマにスペイン人探検家 Vasco Núñez de Balboa バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア が到着したのは1513年のこと。1519年には Pedro Arias de Ávila ペドロ・アリアス・デ・アビラ が総督に任命され、ここに太平洋岸で最初のスペインの植民地が成立します。博物館には当時の街並みを再現した模型が作られていました。

パナマビエホ

町は繁栄しますが、1671年に海賊の襲撃によって炎上し壊滅します。襲ったのはイギリス出身でカリブ最大の海賊 Henry Morgan ヘンリー・モーガン。彼の波乱に満ちた人生はとても興味深いのですが、長くなるのでここでは省略。パイレーツオブカリビアンと言えば、まさに彼のことでしょう。
模型で岬の先の方に見えている高い塔などいくつかの建物の跡が残っており、これから見学に向かいます。

歴史博物館

町は復興されることなく、そのまま廃墟となってしまいます。
その後はパナマ・ビエホの西、現在のパナマ旧市街にあたる カスコ・ビエホ に新たな町が作られていきます。ユネスコではパナマ・ビエホとパナマ歴史地区を合わせて Archaeological Site of Panama Viejo and the Historic District of Panama とし、文化遺産に登録しています。

人物紹介

博物館を出ると、いくつかの像がありました。
まずは先述の Pedro Arias de Ávila、1519年にパナマの総督となった人物です。

Pedro Arias de Ávila

次、Cristóbal Colón は説明不要ですね。クリストファー・コロンブス(1451年ごろ~1506年)です。
これ、よく見る肖像画と違って随分とイケメンに彫られていませんか?

Cristóbal Colón

そして Isabel la Católica。
コロンブスの新大陸進出を後押ししたことで知られるイサベルⅠ世(1474年~1504年)です。

Isabel la Católica

彼女はアラゴン王子フェルナンドと共にイベリア半島を統一してスペインを作っていきますが、僕としては異教徒を処刑しまくったインパクトがあまりに強く、ヨーロッパ史の中でも印象が悪い女性の一人です。その一方で無法者の海賊ヘンリー・モーガンには興味を覚えたりと、我ながら勝手なものです。

パナマビエホ遺跡

お目当ての Panamá Viejo パナマ・ビエホ の遺跡にやって来ました。
と言っても、野原に建物の跡が点在しているだけです。じっくり見るというより雰囲気を感じながらお散歩する感じ。僕はガイドさんと来ているから良いものの、予備知識なしに訪れるとまったく面白味が無いかも知れません。

Panamá Viejo

壁のあちこちに穴が開いているのが見えます。
上の方は屋根を支えるため、壁の中ほどの穴は換気用だそうです。木造だった部分は当然、焼失してしまい何も残っていません。

パナマ・ビエホ

Torre de la Catedral

一際目立つ塔は、大聖堂の鐘楼だったもの。
パナマ・ビエホで数少ない分かりやすい見どころの一つで、高さは33mあります。

パナマ・ビエホ

町の想像図が出ていました。
かつてはこんな建物&街並みだったんですね。

ユネスコ世界遺産

この塔は5年がかりの修復計画により、現在は上に昇れるようになっています。
先の博物館と同様に入場料が必要ですが、ガイド同行だとフリーパスのようです。

ユネスコ世界遺産

階段を登って塔の上へ。一つくらいこういうアトラクションが無いと、さすがにつまんないですよね…(笑
しかしながら、まったく観光客が見当たりません。

塔

東の眺め。

パナマビエホ

西。向こうにパナマシティの高層ビル群が見えています。

パナマビエホ

南は太平洋。海の上を横切っているのは Corredor Sur の道路です。

パナマビエホ

北。

パナマビエホ

Vista parcial del sitio desde la torre de la catedral.

パナマ・ビエホ

海賊はカリブ海側の陸から、つまりこの先から侵攻して来たそうです。
1,000人を超える軍勢で、火を放たれて町は一気に崩壊してしまいます。

大聖堂

塔の真下にはカテドラルの跡。今はレンガの床と石造りの壁の一部が残るのみですが、かなり大きな建物だったことが分かります。
この正面に祭壇があったそうです。

大聖堂

町の跡

パナマビエホに町が存在したのは1519年から1671年まで。
その間、1620年の大震災や度重なる火災に見舞われるも、黄金貿易でたいへん栄えたそう。その黄金を狙って海賊に襲われることになる訳で…

パナマ・ビエホ

貯水槽

Restos de un aljibe junto al convento de la Concepción.
Los pozos y aljibes abundaban en la antigua ciudad debido a la escasez de agua potable.

Panamá Viejo

飲料水の不足に備えて作られた貯水槽の遺跡です。

女子修道院

Ruinas del convento de la Concepción.

女子修道院

女子修道院の跡も大掛かりな修復が行なわれて、見応えのある建物になっています。
ここは市民に有料で貸し出されており、コンサートや結婚式に利用できるそうです。

Nuestra Señora de Gracia

木造建築だった建物は焼失していますが、修道院や有力者の邸宅などは石造の部分が残っています。かつて何の建物だったかも分かっているようで、パネルに簡単な説明が掲載されていました。

パナマビエホへの行き方

パナマシティの新市街から北東に6kmの位置にあります。
今回はチャーター車で訪れていますが、町からタクシーで来ても数ドル程度かと。ただし人けが少ない場所なので、何人かで観光することをおすすめします。午後4時以降は治安が悪く地元の人も近付かないそうなのでご注意を。

パナマ観光ツアー

今回はプライベートでガイドを付けているため、薄く広くたくさんの情報をいただけました。移動中はパナマの歴史や文化について、観光中は史跡についてだけでなく見かけた鳥や花についてもテンポよく話が広がっていきます。

例えばこの木の実、中米ではよく見かけますが、昔は天然のシャンプーに使ったり今では中の種をハンディクラフトに利用したりするそうです。彼女は Monkey Ear モンキーイヤー と呼んでいましたが、現地では色々な名前が付いており、調べてみたら正式名称は Enterolobium Cyclocarpum と言うそうです。

Monkey Ear モンキーイヤー

誰もが知る見どころの パナマ運河 に比べたらここはほとんど知られていないかもしれませんが、パナマは地理的な重要度が高く、その最古の都市遺跡となれば見逃せません。現存する建物は僅かでしたが、ヨーロッパの植民地活動について理解を深める良いきっかけになりました。遺跡は壊れちゃっていますが、背景となる歴史や人物があまりに壮絶で、調べだしたら止まらないんですよ。実はこのページを作るだけでも丸3日かかっているほど。この後はパナマビエホとともに世界遺産に登録されているパナマ旧市街、カスコ・ビエホの方を見に行ってみます。

パナマ・ビエホ
Panamá Viejo

中米、パナマ共和国。首都パナマシティの新市街の北東 約6km。

【休館日】 塔と博物館は月曜休み
【入場料】 塔と博物館で 6 USD (2014年5月現在)
【TEL】 +507   226 8915
【URL】 www.panamaviejo.org/

プロフィール
Kitagawa

Kitagawa
南国のアイランドリゾートから地球の果ての辺境まで、4か国語の会話力を駆使して2008年から2024年までに100か国以上を旅しました!飛行機の搭乗歴は1000回を超え、2012年にはFAA(アメリカ連邦航空局)のパイロットライセンスも取得。バンコク在住。
当ブログでは今まで訪れた旅先から、写真を17205枚と心に残った体験を1101件公開しています。(2024.04.19)

2014年, '14 パナマ

コメント

    • kazumi
    • 2015年 5月 06日

    写真を拝見しました。
    15年前に女子1人でふらっと訪れましたが、こんなに修復がなされていなくて、
    塔も無かったので登れませんでした^^;。
    当時数日前に白人の3人が観光していた所襲われたということで、
    警官が必ず目に入る位置についてきて警備をしてくれたという想い出があります。
    勿論、観光していたのは私だけだったので・・・。
    すっかり変わっていたのでびっくりしましたが、楽しく拝見させて戴きました。

    • Cisia
    • 2016年 4月 22日

    ブログ楽しく拝見させて頂いております。
    2016.10月にパナマシティに3泊する予定です。
    見て回りたいのは、ミラ・フローレス、カスコ・ビエホ、パナマ・ビエホです。
    泊まる場所で迷っています、地下鉄の5月5日駅近くか、ダウンタウンにしようかと
    思っているのですが、Kitagawaさんはどちらに宿泊されましたか、おススメがあったら
    教えて下さい。またチャーターはどのようにされましたか。
    質問ばかりですいませんが、宜しくお願いします。

    • kitagawa
    • 2016年 4月 28日

    Cisiaさん、こんばんは!Kitagawa@イタリアです。
    旅のスタイルが分からないので特にオススメする訳ではありませんが、僕はシェラトンパナマに滞在したので参考にしてください。
    http://kitagawa.ws/sheratonpanamasuite/
    パナマで新市街以外に泊まったり公共交通機関を使っての移動は僕の想定外です。またガイド付き専用車は事前にエージェントを使って手配しましたが、このクラスのホテルなら前日でも現地で手配できると思います。3泊あれば一通り見て回れそうですね、良いご旅行になりますように!

    kazumiさん、コメントに気付くのが遅くなって失礼しました!
    貴重な体験談ありがとうございます。日中は観光に問題ないレベルでしたが、今も日没後は急激に治安が悪くなるエリアらしく現地の人も不用意には訪れないそうです。パナマって知名度の割に観光客が少なく、どうしても目立っちゃうんですよね…今後も気を付けて旅行を続けたいと思います。

    ではまた!

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