05.29
「シャルトルの青」と呼ばれる神秘的なステンドグラスが輝く世界遺産 ノートル・ダム大聖堂(フランス・シャルトル)
シャルトル大聖堂、ことシャルトルにある ノートルダム大聖堂 Cathédrale Notre-Dame de Chartres。11~13世紀に造られたカテドラルで、当時のステンドグラスが今に残るフランス国内でも屈指のゴシック建築物です。1979年にユネスコ世界遺産に登録されました。
Cathédrale Notre-Dame
【行き方】
鉄道: パリ・モンパルナス駅から所要1時間、SNCFシャルトル駅から徒歩10分
車: パリから南西に90km、高速道路で所要2時間(高速代 6,40€)
【開館時間】 午前8時30分~午後7時30分
【休館日】 1月1日、5月1日、ペンテコステ(精霊降臨祭)の翌月曜日の午後、12月25日
【入場料】 無料
フランスで3度目となるドライブ旅行、今回はノルマンディを経てブルターニュを目指します。シャルルドゴール空港をレンタカーで出発してすぐにパリの環状線ペリフィレックで渋滞にはまってしまい、とりあえずの目的地をここシャルトルに定めました。
高速道路を下りて麦畑の中の一本道を走って行くと町の真ん中に佇むカテドラルが近付いて来ました、ノートルダム大聖堂です。ペールグリーンの屋根が印象的で、これは鉄道ではなく車で来てこそ体験できる感動的な現れ方でしょう。
シャルトルのノートルダム大聖堂は11世紀に建立され、当初はロマネスク様式を基調とした初期ゴシック様式だったものの、1194年の大火事でその大部分が焼失します。同年から1220年にかけて急ピッチで再建され、ロマネスク様式とゴシック様式が共存する造りが生まれます。
観光局の解説によると、西側のファサードにある彫刻群が最初の見どころ。
下の写真が西から見たカテドラルです。
「王の扉口」や「諸王の入口」などと呼ばれるロマネスク彫刻の傑作。ユダヤの王や旧約聖書の預言者たちを表現しているそうです。
両脇を守る足の長~い人像円柱もユニークですね!
視線を上に移すとバラ窓や聖人像が並んでいました。
鐘楼
鐘楼の上部は左右で様式が異なっています。
右側のシンプルなものが創建当時のロマネスク様式。
一方、向かって左側の塔は火災の後に作られたのでバリバリのゴシック様式となっています。
火災の前からの初期ゴシック様式はこの西側のファサードと塔、および地下礼拝堂に残るのみです。
身廊
扉を開けてカテドラルの中へ、フランスらしく教会の入場料は無料です。
見上げるとリブ・ヴォールトとなっており、梁より高い天井とそのギリギリまで作り込まれた高窓が見えました。
入り口を振り返ると、先ほど正面から見たバラ窓の内側です。
観光客が少なく静かにじっくり見学できたのは幸運。パリにある同名の ノートルダム大聖堂 は人気が高くミサが行なわれていることもありなかなか自由に見て回れませんが、シャルトルのそれは自分の足音が響くほどの静寂に包まれていました。
窓を通して差し込む光、特に青色が鮮やか!
色に深みが感じられます。
再び見上げてみると、驚くことにクリアストーリーもすべてステンドグラスになっていました。
何という贅沢な作り!
パイプオルガンは身廊の中ほどに設えられています。
まるでランセット窓の方が主役と言わんばかりのコンパクトな作りですね。
これらの部分は屋外に壁を支えるためのアーチが空中に重なっており、フライングバットレスと呼ばれるゴシック建築ならではの構造が見られます。
シャルトルの青 Bleu de Chartres
シャルトルにあるノートルダム大聖堂を訪れるべき理由、それは精巧なステンドグラスの数々で、12~13世紀のものが現存しています。資料によって少しバラツキがあるものの、その数は170枚以上。特に青色の美しさから シャルトル・ブルー Bleu de Chartres の名で世界的に知られています。
西ファサードのバラ窓ステンドグラス
まずは正面と言いましょうか、先ほどカテドラルに入った王の入口のバラ窓を見上げます。
テーマは「最後の審判」。円を囲む小さな丸いガラスにも精巧な模様が刻まれていました!
南ファサードのバラ窓ステンドグラス
翼廊にもステンドグラスがあります。南側のバラ窓は13世紀のもので直径10.5m。
形や色合いなど幾何学的な安定感があり、まったく古さを感じさせないバランスの良さが見られます。
北ファサードのバラ窓ステンドグラス
対座する翼廊にもバラ窓があり、こちらも13世紀の作で直径10.5m。
回転する正方形の内側の絵柄がきちんと水平を保っていて、どこか楽しげな雰囲気も。下に並ぶ5つのランセット窓も美しいですね。
この他170枚以上のステンドグラスがありますが、特に評価の高い作品が周歩廊の南側にあります。
観光局によると 美しき絵ガラスの聖母 Notre-Dame de la Belle Verrière と呼ばれる一枚で1180年に作られたもの。以下に場所を示しますのでお見逃しなく!
なお、12世紀以降のステンドグラスが残るフランス国内のカテドラルとしてはここシャルトル大聖堂と合わせてブールジュのサンテティエンヌ大聖堂もオススメです。いずれもユネスコ世界遺産となっており、今年合わせて見学して来ました。Kitagawaが感じたステンドグラスの煌めきは後から見たブールジュのそれが勝っており、当ブログの サンテティエンヌ大聖堂 Cathédrale Saint-Étienne de Bourges の旅行記をご覧ください。
主祭壇
十字架が宙に吊られているのが斬新です。
高窓から差し込む光を反射して、角度によっては黄金に輝く十字架が宙に浮いているように見えました。
祭壇に掲げられた 聖母被昇天像 Assomption de Marie。
調べてみたところ1772年 Charles-Antoine Bridan の作です。
クワイヤを守るように作られた大きな壁状の彫刻も圧巻。
聖書のシーンが再現されており、ステンドグラスと双璧を成す見どころとなっています。
最後にぐるりとカテドラル内を一周。
側廊が広々としており、緻密な装飾が施されているにも関わらずノートルダム大聖堂からはスッキリとした端正な印象を受けました。
とても30年足らずで再建されたとは思えない規模と作りで、厚い信仰を集めていたカテドラルだと窺えます。そして数多の戦禍をくぐり抜けて当時のステンドグラスが今に残っているのも感動もの。静かな町でひと際静寂に包まれた聖堂内、青の世界に引き込まれた時を過ごせました。
シャルトル観光
シャルトル Chartres は麦畑に囲まれた小さく静かな町。2時間もあれば旧市街を一回りでき、パリから日帰り観光も可能です。
鉄道で来たならシャルトル駅前からノートルダム大聖堂まで徒歩10分。もし車なら旧市街の南を走る シャスル通り Boulevard Adelphe Chasles の地下駐車場に停めると安心です。いくつかの広場を結ぶ路地にカフェや商店が控えめに連なり、そのノンビリした空気にも魅せられました。ノートルダム大聖堂を含むシャルトル観光の後は、一路 モンサンミッシェル Mont Saint-Michel を目指します。
陽気なシャルトルの歩行者天国
Rue Noël Ballay
マルソー広場
Place Marceau
アール広場
Place des Halles
ノートルダム大聖堂 周辺
Cloître Notre Dame
カテドラル裏の庭園からシャルトル郊外を望む
Jardins de l'Évêché
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