November 04, 2011

衛星携帯電話あれこれ(インマルサット・イリジウム・スラーヤ)

インマルサット

衛星携帯電話Kitagawa@Japan です、こんにちは。
先日、衛星電話のお話をこのblogで少ししましたが…その後何件かご質問をいただきました。先の震災や、それに続く津波に原発事故、そして現在進行中の洪水など、今年は大きな災害が続いています。非常用として衛星電話に関心をお持ちの方も多いようですが、まだまだ個人で持っている方は少ないようですね。

衛星電話はその名の通り、人工衛星を利用して通話します。そのため、基本的に空さえ見えていれば、洋上でも上空でも砂漠でも、どこであっても電話ができます。未開の地や独裁国家へ旅行の際や、天変地異が起こったときには、最強の通信インフラです。Kitagawaは3社の衛星電話を使ったことがありますので、簡単にご紹介しておこうと思います。

インマルサット

インマルサットは民間向けの衛星通信のサービスを初めて事業化し、船舶電話・航空電話などで定番です。また、可搬型の端末は事業所などの緊急用電話としても採用が多いようです。ただし端末・回線・料金の体系は結構複雑…基本的に据置型ですし、個人で持つのはしんどいかと。ちなみにKitagawaの立ち回り先や移動用の車に緊急用として配備しているのも、インマルサットの衛星電話です。

注目は 2007年から投入されている携帯電話型の端末、アイサットフォン。非常用の一台として持つには現在最もおすすめです。本体は 600ドルを切っており、通話料金も 1分1ドルと明快。月額料金は無く、SIMの購入で 2年までは使用できます。つまり端末を含めても月額 2,000円台で維持できちゃいます。ただし…日本国内で端末を販売するキャリアが無いのが残念っ!日本語表示もできて使いやすいんですけどねぇ。
空さえ見えていれば、極点を除く全世界で通話できますが、プリペイド端末は現在のところ北米での使用ができませんので注意が必要です。

イリジウム

イリジウムは低軌道に多数の衛星を打ち上げているのが特徴です。他のサービスが 36,000kmも上空(というか宇宙)の人工衛星と通信するのに対して、イリジウム衛星の高度は 780kmのため、声の遅れがほとんどありません。また、北極や南極でも通話できる衛星電話はイリジウムだけ!極点に御用のある方にもおすすめです。テレビCMの「通話エリアは地球です」は、伊達では無いようです。KitagawaはこのCMに魅せられて、10代のころイリジウムをバックパックに忍ばせてアジアを回っていました。幸か不幸か、お世話になることはありませんでしたが…(笑

日本では KDDI で取り扱っていますので、個人でも契約できます。最も入手が容易な衛星電話でしょう。ただし…端末が約25万円に月額料金が 5,000円~ と、そのコストはかなり高額。そのくせ、端末の機能がしょぼく、持っていてワクワクできないのが残念です。
なお、イリジウム間の通話には地上施設を介しませんので、たとえ核戦争などで地上施設が壊滅しても、イリジウム同士なら通信が可能とのことです。

スラーヤ

スラーヤはたぶんほとんどの方が名前すら知らないと思いますが…アラブ首長国連邦の衛星を使う、比較的新しい衛星電話サービスです。
衛星携帯に注力しているだけあり、持って歩いて実際に使える楽しい端末が用意されています。衛星とGSMの両方を使えたり、メールやインターネットの利用など、小型ながら機能は強力です。フルカラー液晶の付いたカメラ付きの衛星電話を出しているキャリアもここだけ。端末の価格は 6~8万円くらい。月額料金は無く、10ドルのSIMを買えば1年間使えちゃいます。通話料金は 1分0.5ドル~ と、地上波携帯の海外ローミングに迫る低料金も嬉しいですね。
注意点としては、現在のところアメリカ大陸をカバーする衛星が打ち上げられていません。また、日本国内で購入することも難しいと思います。