May 17, 2009

フランス料理 実践マニュアル

DSC_0539.jpgKitagawa@Parisです。
今日はフランス料理について。

日本にいても滅多に食べないフレンチですが、せっかく本場なので是非挑戦してみたいもの。
敷居が高く、注文も面倒なので、果たしてフランス語をろくに話せない僕がパリでフレンチを食べられるかしらとビビリまくっていたのですが、慣れてしまえばどうってことはありませんでした。むしろフレンチの素晴らしさに触れ、連日連夜フランス料理だけを食べ歩き、すっかりおデブになっちゃいました…。
今日はフランス料理店へ行き食事をスマートに楽しむための、ポイントや気づいたことを順を追ってメモしておきます。次回に自分が読むためのものですが、他の方も参考になれば幸いです。

(写真は同席者が撮ってくれたものです、他意はございません。)

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○入店したら
名前を告げる、コートを預ける、案内される席に着く、の3拍子。
案内されるまで待つのはどの店も基本ですが、コートについては座席の背にかけるカジュアルなお店も多いようなので、場の雰囲気に応じて。なお、店員がイスを引いた方が基本的に女性側です。

○席に着いたら
食事のメニューを持って来ると同時に、たいていはまず飲み物を聞かれます。
ここはグラスでシャンパンでも注文しておけば無難。Glass of Champagne, Please.またはフランス語なら、クープ・ド・シャンパーニュ、シルヴプレ!ってところです。たいてい水も聞かれるので、「ノー・ガス」とか「エビアン」とか言っておけばOK。僕の場合は以上の決まり文句です。

○注文について
飲み物が出てきたあと、注文を取りにくるまで結構な時間があります。
周りを見ているとビックリするほどノンビリとメニューを見ていますが、焦らずじっくり料理を選ぶのがフランス流のようで、これはかえって助かります。(時間が無い時にはフランス料理は合いません)
なお、基本的には声を出して店員を呼ぶことは控えて、向こうからやって来るのを待つのが無難です。(もし用があって呼ぶなら、「ムシュー」と声をかけます。)

○メニューについて
メニューはほとんどのお店で英語併記ですが、ときどきフランス語のみの場合もありました。これは店のレベルにあまり関係なさそうです。(日本語メニューは皆無です)
そこで、最低限「前菜」「魚料理」「肉料理」「デザート」の見出しだけは覚える必要がありますが、まぁ大抵この順番に載っているので心配無用です。各項目は意外に少なく、4~7品ほどで、値段も一緒に載っています。アラカルトで1皿20~60ユーロってところです、値段的には大したことありませんね。
注文は、前菜から必ず1品、メインに魚か肉の片方または両方を1品ずつ選びます。基本的にフランス料理ではシェア(2人で分ける)ということはしないので、各人が前菜1皿とメイン1~2皿を注文するということです。肉と魚から1品ずつが正式なフルコースですが、相当お腹が空いているか超高級店でも無い限り、メイン1品で充分であり、最近は健康志向が強いのか、逆にお店から「魚と肉を両方ですと多すぎませんか?」と言われることもありましたので、この辺はどの程度のボリュームが良いのかお店に聞くのが一番のようです。
また、高級なもの(例:キャビア)や変わったもの(例:カタツムリ)を前菜の付けあわせで頼む場合には、1 for 2とか プール・レ・ドュー(2つに分ける)と言えば、2皿に分けて出てきます。1皿を2人でつつくということは決してしないように!

○フランス語について
運悪く?メニューがフランス語のみの場合は、眺めていても分かるはずがありません。店員を呼んで一つずつ内容を聞いても良いのですが、これが英語で説明されても分からないような料理が多く、しかも聞いていてもそのうちに忘れてしまいます。そこで、フランス語の食材単語帳を持って行ったのですが、これで結構内容が分かるから面白い!食材単語帳はたいていガイドブックに1ページでまとまっているので、これをちぎっていくと便利です。
単語さえ拾えれば、例えば魚がスズキなのか舌平目なのか鮭なのか鯛なのか、付け合わせがポテトなのかレンズ豆なのかが分かるため、好きなものに絞り込めます。(鮭を注文するなら Salmon Please とか、ソモン・シルヴプレ!でOK。)
また、似たようなものが多い場合(子牛の肉で部位違いなど)は、おすすめを聞いちゃうのが手っ取り早いです。出来れば好きなもの(僕の場合はフォアグラとかオマールとかラムとか)の単語だけでも覚えておけば、注文の際に相当役立ちます。
なお、たとえメニューがフランス語しか無くても、外国人のテーブルに付く店員は必ず英語が話せるので、会話は全て英語でOKです。最後に「プリーズ」または「シルヴプレ」を忘れずにつければ良いでしょう。食事をしに来ているのは誰の目にも明らかですから、それほど言葉の心配は要りませんでした。

○ワインについて
料理が決まると、今度はワインを聞きに来ます。(料理が決まってからワインを選びます)
詳しい人は良いのでしょうが、僕はワインは全然分からないので、肉の場合は赤、魚の場合は白、あとは口当たりの希望だけ言ってお店にお任せです。
庶民的なお店なら自動的にハウスワインになりますし、高級店ならソムリエが出てきて一緒に選んでくれます。観光客に高いワインを勧めるなんてことは決してなく、たいてい80ユーロ(1万円)程度~の無難なものを2本くらい薦めてくれますので、一応どう違うかを聞いて、どっちかに決めればいいでしょう。分からないけど少し格好を付けるなら、ブドウの産地か種類でも指定しておけば多少は様になるかと。(僕が「ワインを分かるふり」をするのに良く使う手です…笑)
あまり飲めないならハーフボトルを選べばOKです。

○テイスティング
注文したワインがテーブルにやってきたらホストである男性がテイスティングをします。まぁ儀式的なものですが、これは日本でもどこへ行ってもやることなので、付き合うしかありません。一口飲んで、「うむ、くるしゅうない。」とでも呟いて頷いておけば、全員のグラスに注いでくれます。グラスが空になったら自分で勝手に注ぎ足してもOKです。

○マナー
ほとんどのお店でお料理ごとに食器は全交換というケースが多く、フォーク・ナイフの順番に気を使う必要はありませんでした。絶対やってはいけないことは、他の人とのお料理の交換(いわゆるお味見)です。(ただし観光客がこれをやっているのは良く見かけましたが…これは非常に下品です。)
食べ終わったら、フォークとナイフはハの字型ではなく2本揃えてお皿に乗せておくのが食べ終わりの合図です。
あと、フレンチに限らない話ですが、お皿の上に顔を持っていくのではなく、フォークやスプーンで口に運ぶのが基本です。頭の位置を動かさずに食べる、を意識すれば、エレガントでしょう。まぁ僕が言うのも余計なお世話ですね、失礼しました。

○デザート
メインが終わったら、チーズやデザートの注文を取りに来ます。チーズならワゴンから選び、デザートならメニューを貰って選びます。もちろん注文せずに会計でもOKですが、これが絶品が出てきたりしますので、「甘いものは別腹」ってことで注文をおすすめしておきます。チーズを食べるつもりなら、ワインが少し残っていると良いですね。チーズはどれだけ注文しても定額です。
(デザートを注文する場合はテーブルの全員が注文します、一人だけデザートは食べない、ということはあまりしません、ご注意を。)
デザートも食べ終わったら、ほしい人は食後酒やコーヒーを頼みます。

○お会計
お会計の仕草は万国共通で、右手で左手を指差してくるくるすればそのうちに伝票がやってきます。支払はホストがまとめてカード払い。間違っても現金で割り勘などという無様をしないように。
(会計はかなり時間がかかることが多い!あとサインの代わりにカードの暗証番号を端末に入力するパターンも多いので、PINコードを知っていないとまずいです。)
サービス料がついている昨今、チップについてはほとんど不要です。
最後に、美味しかった「セ・テ・トレ・ボン」、ありがとう「メルシー」、と一言添えれば、“終わりよければ全て良し”ってことで、多少の粗相は多めに見てくれる、はず?

○時間と予算
僕はもともと食べるのが非常に遅いのですが、ここまでどんなに早くても1時間半~一番長かったお店で3時間くらいかかります。贅沢な時間が過ごせますので、ゆっくり堪能しちゃいましょう。
予算は店の程度にもよりますが、遥々フランスまで食べに行くなら、1人100ユーロ+ワイン1本100ユーロくらいから。2名で3~5万円ほど見ておけば、星付きのお店であっても相当な無茶をしない限り収まるはずです。

○menu(ムニュ)について
多くのお店では、前菜からデザートまでがセットになった定額のコースメニューが用意されており、menu(ムニュ)と記載されています。
よく分からない場合は注文が手軽になりますが、結構中途半端であまり満足のいく内容ではない(どちらかというとお店に都合の良い内容になっている)ので、きちんと一品ずつ注文することを強くおすすめします。
パリまでいってお手軽セット、その上あまり美味しくなかった、ではちょっと悲しすぎますので。

○予約について
高級店なら予約は必須。二部制で回しているお店もあるので、いきなり行くと座れないかも。
予約は、ホテルのコンシェルジェデスク、またはクレジットカードの現地デスクに頼むのが簡単です。僕は毎日、ダイナースクラブに手配を依頼しました。ダイナースやアメックスなら、相当なお店でもあっさり良い席を直前に取れたりして、強~い見方。もちろん日本語でOKですし無料なので利用しなくちゃ損です。
なお、星付きの超高級店は前日などにリコンファーム(予約の再確認)が必要です、お忘れなく。

○服装など
星付きなら当然のことですが、それなりのフランス料理のお店に入るなら男性はスーツに革靴が基本。(フランス人はネクタイを外して食事している人も見かけますが、ネクタイも着用が無難。)
まぁ、サンダルや短パンでも無い限り、服装で追い返されることは無いとは思いますが、こちらが服装や立ち居振舞いでお店をリスペクトしている様であれば、お店からも良いお席や一流の対応が期待できます。
また、お一人様や男性2名などのテーブルはまず見かけないため、カップルで行くのではない場合、ホテルのメインダイニングなどの方が気まずい思いをしないかもしれません。

※ 以上、個人的な見解や経験に基づく記述ですので、指摘や反論は無用です。また、このページの文章については定期的にサーチをかけていますので、まかり間違ってもコピー&ペーストで無断引用をしないようにお願いいたします。