07.30
ホテルの中に現れる15世紀の礼拝堂、Convento do Espinheiro で静謐を味わう。 (ポルトガル・エヴォラ)
ポルトガルには古城や修道院を改装したホテルが数多くあり、特に国営のものは ポザーダ Pousadas と呼ばれます。アレンテージョ地方のエヴォラの町で宿泊した五つ星ホテルも中世の修道院を改装したものであり、美しい礼拝堂が併設されていました。静かでひんやりとした空間の中、ポルトガルの歴史に思いを馳せる…そんな至極のひと時を宿泊客として体験させていただきました。
その名は コンヴェント・ド・エスピニェイロ Convento do Espinheiro、15世紀に造られた小さな修道院です。その一部を改装してホテル、コンヴェントドエスピニェイロ ラグジュアリーコレクションホテル&スパ エヴォラ として営業しており、泊まってみたのです。敷地内にある教会がことのほか美しく、その由来と内部の様子をお伝えしたいと思います。
Convento do Espinheiro
歴史は1400年ごろ、ここに生えていた“棘の木”の周りに聖母 Virgin Mary が出現したという言い伝えに始まります。1412年に聖母を祀る礼拝堂が作られ、1458年にはジェロニモ修道会の修道士を置く教会と修道院が建てられます。当時はアフォンソ五世 Afonso V が国を治めており、教会と修道院の完成によって当地への巡礼も増えたのだとか。
1490年にはポルトガル王太子アフォンソとカスティーリャ女王イサベル1世の長女イザベルとの挙式がエヴォラで行なわれ、王と王妃がここを訪れています。まさかポルトガルとスペインの政略結婚という歴史の舞台にもなっていたなんて!マヌエル1世も頻繁に巡礼したことが知られており、ここには夭折した娘マリアが埋葬されているそうです。
と、ホテル提供の冊子から僕が日本語に抄訳したものですが、続く資料にも歴史の表舞台に出て来ないエピソードが満載で興味深く。ちなみにespinheiroはポルトガル語で棘の木を意味し、コンヴェント・ド・エスピニェイロを日本語にすれば“棘の修道院”となります。
ホテルから礼拝堂に入ったところ
全景
夜の礼拝堂の様子
同、日中の様子
ポルトガル伝統の装飾タイル、アズレージョ
石碑
教会全景
前方の祭壇
煌びやかな装飾
伝説の聖母像
祭壇から全体を振り返る
礼拝堂の後方
パイプオルガン
ホテルからそのまま入ることができる小さな白亜の教会は静謐という言葉がぴったり。深夜や早朝にここで一人きりの時間を過ごすと不思議な気持ちになって来ます。古いながら汚れや綻び一つなく、とても大切にされていることも伝わってきました。夕方5時から宿泊客向けにガイドツアーも行なわれているので、タイミングが合えば参加されると興味が深まると思います。今回の旅行で泊ったホテルの中でも特に印象深い滞在となりました。
当ホテルはスターウッド系のラグジュアリーコレクションブランドで運営されている五つ星ホテル、という訳で国営のポザーダではありませんが、その分非常に洗練されて細やかなサービスを受けられます。お部屋だけでなくお庭やプール、そしてレストランが特に素晴らしくておすすめです、詳しくは コンヴェントドエスピニェイロ ラグジュアリーコレクションホテル&スパ エヴォラ のページにまとめていますので合わせてご覧ください。
Convento do Espinheiro
コンヴェントドエスピニェイロ ラグジュアリーコレクションホテル&スパ エヴォラ 内
Convento do Espinheiro (1.0 MB)
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