12.15
チャンドバオリの階段井戸 (インド)
インドで絶対に行きたいと思っていた念願の チャンド・バオリ Chand Baori にやって来ました。深い地形と段の数は圧巻!さすがインド最大の階段井戸ですね。今回の旅行はチャンドバオリを見るために計画したようなものなので来られて大満足、まるで宮殿のように立派な遺構にぜひ足を延ばしてみてください。
आमेर क़िला (Chand Baori)
インド共和国 ラジャスタン州 アブハネリ村
(ジャイプールから東に約90km、車で片道2時間)
この巨大な階段を知るきっかけを与えてくれたのは地球の裏側を旅行中のこと。
中米はエルサルバドルからニカラグアまで乗った タカ航空ビジネスクラス の機内誌で見つけた一枚の写真です。実際に来るまで3年もかかってしまいました。
行き方
いわゆるインドの「ゴールデントライアングル」と呼ばれる人気のエリアに入っています。
日本発のツアーでも日程に一週間ほどの余裕あるコースだと チャンドバオリを含むツアー が催行されています。一方、個人旅行ならタクシーをチャーターして訪れる のが一般的。インド旅行は車が断トツで楽ですね!
場所はインドきっての観光名所 タージ・マハル のある アグラ Agra とピンク色に染まる旧市街が美しい ジャイプール Jaipur の間に位置しており、世界遺産 ファテープル・シークリー も道中にあります。そのため、ジャイプールとアグラの都市間を移動するついでにチャンドバオリとファテープルシークリーを見学する のが定番。下の地図でD~E~F~Gのルートとなり距離は270kmあるので丸一日かける日程となります。
写真が綺麗に撮れるよう正午までにチャンドバオリに着きたいのと日没をファテープルシークリーで迎えたいため、ジャイプールからアグラに向かう東向きのルートを取りました。つまり デリー→ジャイプール→アグラ→デリー と反時計回りにゴールデントライアングルを回っており、全日程通しで車をチャーターしています。階段井戸はアブハネリという村にあって、来てみると乾燥地帯に埋もれる小さな集落でした。
自力で行く場合
時間と体力のあるバックパッカーならジャイプールから現地の人が利用するバスを使うとコストが最安です。ジャイプールのセントラルバスターミナルからアグラ方面に向かうローカルバスに乗車し、シカンドラ Sikandra で下車。距離は80kmで所要2時間、降りる場所は有料道路の2つ目の料金所を通過して間もなくで、運賃90ルピー前後。そこから アブハネリ Abhaneri の村までは公共交通機関が無いのでリクシャーを往復で頼みます。有料道路を通り片道10km、リクシャーは待ち時間含め往復200~300ルピーの口コミが多いようです。参考までにバスを降りる Sikandra の交差点と、Sikandra の通りから村へと折れる小さなロータリーの写真を掲載しておきます。
チャンド・バオリの階段井戸
Chand Baori Stepwell
こちらがチャンドバオリの正面入口です。
インド最大の階段井戸というスケールとは裏腹にとても静か!今のところ入場は無料で、勝手に中に入って見学できるようです。
簡素な建物をくぐり抜けると目の前に現れる巨大な階段の遺構。
一番上だと思っていた場所が地表面であり、階段は下へ下へと続いているのですね~井戸なので当たり前ですが、あまりに大き過ぎて目の当たりにするまで掘り下げて作ったというのがイメージできませんでした。
目の前にびっしり並ぶ階段・階段・階段。
陽射しが強いコントラストを作っていました。
この井戸は8~9世紀にかけて当地 アブハネリ Abhaneri を支配したニクンバ王朝の チャンダー王 King Chanda(または チャンドラ Chandra)によって作られたもの。
解説によると深さは19.5メートルと書かれていますが、実際には30メートル近い高低差があるようです。
正方形の井戸はその三面に階段を持ち、各辺に沿って平行かつ両方向にステップが設けられているのが特徴的。効率的に昇り降りするためだったのか、あるいはインド人独自のセンスによるものなのか?なぜこのように幾何学的な造形を選んだのか想像するだけでもロマンチックですね!
北の斜面には柱に支えられた回廊が重なって、まるで宮殿のよう。
乾燥が激しいラージャスターン州。ここは貴重な水を得る井戸としてだけでなく、かつては降水量を計って水税を得ていたとか、あるいは涼しい水辺で王が休息するのにも使われたと言われています。
特に最下段の回廊に並ぶ柱列は美しいレリーフが残っており必見、柵があって近くまで降りて行けないのでオペラグラスを持参すると良いでしょう。この井戸の中に作られた階段寺院とも言える建物は ドゥルガー Mahishasurmardini と ガネーシャ Ganesa を祀っているそうです。
まるでアミダくじのようにギッシリ並ぶ階段、その数3,500段!
一つのユニットは7段で構成され、数えたところ階数は13もありました。そして今も底に水が湧いているのが凄いですね~
中に入れないのは残念ですが、かえって人影のない印象的な写真を残せました。
動画も撮ったのでYouTubeにアップしたものを以下に掲載します。
ここでKitagawaの写真を撮ってくれたご主人、とても熱心に撮影していたのでお話をしたところイギリスからご夫婦で来ており1か月もかけてインドを周遊しているのだとか!情報交換をさせていただき、一押しの階段井戸を教えてもらいました。ここより傾斜が緩く(つまり底まで陽が差し込みやすく)観光客がほとんど来ない穴場で、しかも自分の足で下まで降りて行ける最高の井戸…次回訪れた時に当ブログでもその名や場所をご紹介したいと思います。
最後は井戸の周りに展示というか半ば放置された出土品を見学。
美しいレリーフの残った柱やオーナメントを見られました。
Harshad Mata Temple
हर्षद माता मंदिर
階段井戸の西隣には ハルシャット・マタ Harshad Mata というヒンドゥー教寺院があります。こちらも入場は無料ですし、上からの眺めが良いので登ってみると良いでしょう。
ツアーで来るとここからラクダに乗って村内を回るアクティビティがあるようで、寺院の前にはラクダさんがたくさん待機していました。
アブハネリ村はかつて アブハ・ナグリ Abha Nagri と呼ばれており、ヒンディー語で「明るい町」の意。この寺院に祀られている女神ハルシャットマタが周囲を照らしたと信じられているそうです。履物を脱げば頂上にある祠も見学することができました。
チャンドバオリを見学した後は昼食を挟んでアグラに向かいます。
ジャイプールとアグラの間はひたすら荒涼とした風景が続いており、観光客向けのドライブイン Motel Gangaur でランチとなることが多いようです。どうせ高いだけだろうと舐めていたのですが…ここで食べたきのこカレーは濃厚で衝撃的な美味しさ!ドライバー任せで連れて来られるレストランは割高ながらクレジットカードが使えますしトイレも清潔なので安心感があります。
アグラに近付くと車窓からは赤レンガを焼く煙突がいくつも見えました。
いつもなら時間を気にせず寄り道して覗いてみるところですが、既に時間が押しているのでレンガ工場にお邪魔するのは機会を改めることに。有名な大理石の産地でもあり、沿道では手作業で石を削る光景も見られました。
最後に実際のスケジュールをまとめておきます。
ジャイプールの ITC Rajputana Hotel を午前9時過ぎに出発、チャンドバオリまでは2時間かからず午前11時~正午の1時間で階段と隣の寺院を見学しました。この日もう一つの見どころである世界遺産 ファテープル・シークリー には午後3時15分に着いたものの、陽が沈むまで2時間半も過ごしてしまいアグラの ITC Mughal Hotel に到着したのは午後7時半ちょうどでした。
参考資料
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