03.20
パハルプールの仏教寺院遺跡群 ソーマプラ僧院(バングラデシュ)
バングラデシュにある世界遺産、パハルプールの仏教寺院遺跡群を観光しました。その中心はソーマプラ大僧院で、仏教やヒンドゥー教の神々が浮かび上がるレリーフが見どころです。
現在は国民のほとんどがムスリムのバングラデシュですが、かつては仏教が栄えた地。ここソーマプラ僧院はインド亜大陸で最大規模の仏教寺院であり、カンボジアのアンコールワットやミャンマーのパガンにも影響を与えたのだとか。今では基礎の部分しか残っていませんが、はるばるパハルプールまでその遺跡を見にやって来ました。
পাহাড়পুর বৌদ্ধবিহার
Ruins of the Buddhist Vihara at Paharpur
バングラデシュ人民共和国の首都ダッカから北西に250 km
(日帰り不可、パハルプールの南東70 kmにある町ボグラを拠点に観光がおすすめ)
パハルプールの仏教寺院遺跡群への行き方
首都ダッカから車で片道8時間が目安。ただし日帰りできる距離ではなく、遺跡周辺に大きな町や宿泊施設もないため、バングラデシュの古都 ボグラ Bogura に滞在してパハルプールを観光するのがおすすめです。
具体的なアクセスや日程は当ブログ内の パハルプール仏教寺院遺跡群への行き方 のページをご覧ください。結構時間がかかりますけどね、ベンガル遺跡の中でも最重要と言える観光名所なのでバングラデシュ旅行の際は忘れずに訪れてください。滞在を数日伸ばしてでも行くべきだと思います。
ソーマプラ僧院
Somapura Mahavihara
パハルプールの仏教寺院遺跡群の中心がソーマプラ大僧院。ベンガル地方の仏教遺跡としては一番の保存状態で(周辺にも小さな遺跡が点在していますが)ここ一か所をじっくり見学することにしました。所要時間はソーマプラ僧院と付属の博物館で一時間はみておきたい。

入場料
近年、バングラデシュの観光名所は外国人料金が大幅に値上げされて入場料は 500タカ(約600円)でした。
敷設のパハルプール博物館も別途入館料が必要で、そちらも 500タカ(約600円)。支払いは現金のみです。

ソーマプラ僧院は8世紀末に創建された仏教寺院。
8世紀中ごろから12世紀までベンガル地方に栄えたパーラ王朝の2代目、ダルマパーラ王(Dharmapāla、護法、530-561年)による建立とされています。

19世紀初めに発見されたものの、本格的な発掘はバングラデシュ独立後の1981年から。1985年にユネスコ世界遺産に登録されています。
敷地内は丁寧に手入れされていて緑がとても美しい。陽射しを遮る場所がまったくないので日傘を持ってきて正解でした。

ソーマプラ僧院のレイアウトを以下に示します。
観光客が入り口から入ってくると、図の右側から足を踏み入れることになります。僧院の正面は北側で、図の上に当たります。また、図の右下に描かれた構造物もテラコッタの基礎がはっきり残っているので見逃さないように。反時計回りが見学しやすいでしょう。

敷地は一辺がおよそ270m強の正方形。
中庭にそびえ立つのは中央寺院の基壇です。往時の姿は想像するしかありませんが、かのアンコールワットやパガンに影響を及ぼすほどの重要拠点だったことを考えれば大きさだけでなく建築や装飾でも群を抜いたものだったのでしょう。

この基礎は周辺の平野に対して約24mもの高さがあり、ベンガル語でパハル(丘)と呼ばれたことからパハルプールと名付けられたそうです。
主な遺構は以下の通り。それぞれ写真を掲載します。

Cell of the Monastery
まずは外壁に沿って並ぶ僧坊跡で、その数なんと177室。
これまで古今さまざまな僧院を見学していますが、ソーマプラ僧院の規模は圧巻。1000人もの僧が暮らしていたと考えられています。

Main Entrance
北側にある正門越しに中央寺院を眺めたところ。

Central Shrine
実際に真正面に立つと、写真でイメージする以上の巨大さに改めて驚かされました。左右・前後ともに対称な十字型の基礎から正確に計算されて造られた印象を受けます。1000年前はいったいどのような仏舎利塔が建っていたのか、想像もつきません。
以前は上まで登れたそうですが、レンガ造りのため崩壊が進んでおり立入禁止になっていました。

Five Shrines
敷地内、中央寺院の南東にはさまざまな時期に建てられた遺構が発掘されています。食堂や厨房、井戸や祠など興味深い形状をしていました。


見どころは粘土板のレリーフ
パハルプールの仏教寺院遺跡群で見逃せないのは寺院の土台を飾る神々や動物の像。浮彫りが施された2800点ものテラコッタ(素焼き粘土板)が見つかっていて、パーラ王朝美術を知る貴重な資料とされています。

動物が生き生きとしていて、神様の姿態にも躍動感がありますね!
バラモン教と仏教の神が対等に描かれているそうで、旅行記で何度か述べていますが仏教とヒンドゥー教(そして現在のイスラム教へ)の重なりを目の当たりにできるのがバングラデシュ旅行最大の面白さだと思います。


ちなみにこれらはレプリカです。
一方、隅のほうで朽ち果てて苔むしたものは恐らくオリジナル。ぜひ見比べてみてください。

パハルプール博物館
Paharpur Museum
パハルプールの仏教寺院遺跡群で発掘された出土品を中心に展示している併設のミュージアム。
8~12世紀に造られたオリジナルの粘土板は必見です。僕が確認したところだと、ガルーダ、顔のない仏陀、戦士、女性、ラクダ、孔雀、亀、蓮、車輪など、モチーフは実にバラエティ豊か。また、展示品で特に美しいのは黒い石造のヴィシュヌ神像(11~12世紀)です。別途入館料が必要ですが、こちらで本物のテラコッタのレリーフを確認してみてください。



参考文献
- UNESCO World Heritage Centre, Ruins of the Buddhist Vihara at Paharpur, https://whc.unesco.org/en/list/322/ (最終閲覧日:2026年3月20日)
- Banglapedia, Paharpur, https://en.banglapedia.org/index.php/Paharpur (最終閲覧日:2026年3月20日)
- 『TRANSIT』第59号、講談社、2023年
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