07.22
筑波大学 生命環境学群
科学実験や気象学の予報モデル解析をしてみたくなり、筑波大学の生命環境学群に入りました!どんな研究をしているのか少しだけご紹介しますね、いきなり国立大の専門課程に突撃したのでめちゃくちゃ大変です(笑
いろんな大学に行きすぎて自分でも訳の分かんないことになっていますが、国立大だけでも現在3つの大学に通っています。その中でも内容の専門性が高くて多忙を極めているのが筑波大学。とりあえずお家から学校までの距離が遠いですね…
通学
筑波大学は茨城県つくば市にあります。
Kitagawaは都内に住んでいるので通学しなくてはならず、東京駅から高速バスを利用しています。
幸い自宅は駅直結の物件であり、東京駅にも乗換えなしの一本で来られます。たとえラッシュアワーでも電車バスともに座れるので通学はそれほど苦になりません。東京駅の八重洲中央口のドトールで朝食を食べるのが日課で、もし会社勤めをしていたら通勤ってこんな感じなのかな~なんて思いました。
うちの大学の同じクラスの子と一緒に履修しており、行き帰りは車内でおしゃべりタイム。遠足気分でうるさくってごめんなさい!って感じっすね。
キャンパスの真ん中が終点なので寝過ごすこともなくて安心。始発もここで、授業後は東京駅まで一本で帰れます。もちろん「つくばエクスプレス」という選択肢もありますが、使ってみたら乗換えと階段の上り下りが何度もあって疲れちゃいました。
筑波大学のキャンパスは広大で、単一のキャンパスとしては北海道大学に次いで日本で二番目の広さ。そのため多くの学生は自転車で移動しているようです。教室の場所もあちこち変わるものだから迷子になっちゃって、何度か全力で学内を走りました(汗
筑波の子たちは全体的に落ち着いていて大人しく、あまり群れない(というか授業でも個人で取り組んでいてあまり協力し合わない)感じですね…ていうかグループワークやるのにグルチャを作らないとか信じられない。うちらはノリも服装もチャラくて僕なんか先生も含めて誰彼構わず話しかけるタイプなので、かなりクラスで浮いていると思います。
サークル
学食
授業は午後からなので、学食でランチを食べてから出席しました。
食堂は建物ごとにあるのかな?お気に入りの場所は 筑波大学のスターバックスと学生食堂 にまとめてあります。
図書館
僕はもっぱら自大学と 東京農工大学 の図書館を利用していますが、筑波は大学図書館にしては珍しく学生以外も予約なしで来館することができ、蔵書数も多いので個人で学術的な調査をしたい場合に強力な存在です。館内の様子は 筑波大学中央図書館 をご覧ください。
教室
典型的な教室の様子。
でも教室はぜんぜん使わなかったので、普段の授業がどんな感じなのかは不明です。うちの大学では完全にオンラインで配布物が共有されますが、筑波大はまだプリントを配ることも多いようです。
どこかにスパコンとかもあるっぽいですね。
大学のコンピュータには学外からリモートデスクトップで接続できるので、わざわざ端末を利用しに大学に来る必要はありません。
筑波大ではLMSとしてmanabaが採用されていました。
一橋大学や 東京経済大学 と同じシステムです。
実習
プログラムを書いて何やら難しい解析をしているKitagawa。
今は文理どの分野の研究であっても膨大なデータを持ってきてコンピュータにぶち込む統計解析が欠かせず、統計学や数学だけでなくプログラミングの知識も必須です。データサイエンスの技術の発展は凄まじく、慶應大学のFinTEKで去年実習を受けていなかったら詰んでいたかも知れません。
OSはWindowsでもMacでもなくLinuxで、基本的にコマンドラインで操作します。しかもbashやviも使うとは!業務でデータセンターのラックサーバーを使っていたので僕もLinuxの使用歴は長いものの、viなんて最後に使ったのは高校生のときなのですっかりコマンドを忘れていました…これほどプリミティブな手法を今も学生に教えているとは、良い意味で驚きました。
実験
とにかく大変だったのは実験ですね…すべてフィールドで行なうもので、準備も計測も分析も考察も、とにかく手間と時間がかかります。しかも毎週まったく違う内容で、基礎科目をぶっ飛ばして来ている身には知らない専門用語や見たこともない数式がバンバン出てきて閉口しました。シュテファン=ボルツマン定数なんて初めて見ましたよ。
Kitagawa、実験装置を持ってキャンパス内を移動中。
なんかクルクル回ってかわいい機械なので、やってみたいって言って担当させてもらいました。
風船一つで上空に吹く風を可視化する
みんな高校で習った三角関数ちゃんと覚えてる?
今学期はいろんな実験をしたのですが、せっかくなので内容が分かりやすいものをここで一つご紹介します。風船を放つと空高く上昇していきますよね?もし風が吹いていれば風船は風下に流されます。このとき自分から風船が見える方角と仰角を測ることで、3次元空間における風船の座標を計算することができます。
具体的には、風船の地面への投影点と自分との直線距離(青線の長さ)は風船の高度 h を仰角 α の tan で割ると求まり、これに方位角 θ の sin や cos を乗じることで投影座標 (x, y) を計算できる…というのは高校1年生で習う数Aの内容です。
もし風船が一定の速度で上昇するならば、その速度に風船が飛んでっちゃってからの経過時間 t を乗じることで高度 h が定まります。実験では1分で120m上昇する分量のヘリウムを風船に充填してあるので、単位時間ごとに仰角 α と方位角 θ を記録することで風船がお空のどこにいたのか…すなわちどう移動したかを追跡することが可能です。
もし手に持っていた風船が飛ばされちゃったときは、ぜひ活用してみてください!ただし風船は風に吹かれてどんどん遠くに行っちゃってめっちゃ小っちゃくなっちゃうので、実験ではセオドライトっていう機械を使って測量・記録しました。
こうして集めたデータは時刻と角度の羅列なので、先述の通り三角関数を使って水平面上に投影した座標を集めることで風船の飛んだルートを航跡図として描画することができます。さらに単位時間あたりの座標の差分を取ればそれが移動ベクトルなので、ベクトルの大きさが風速となり、ベクトルの内積を取れば北方向に対してなす角が求まるので、それを180度ひっくり返したものが風向となります。なぜなら、風向は風が向かって行く方向ではなく風が吹いてくる方角だからです。
これをY軸を高度とした散布図にすると、風速・風向の鉛直構造を描くことができます。200mを境にグラフの様子が大きく変わっているのが見て取れるのではないでしょうか?グラフの下の方がギザギザなのに上の方はしゅっとしていますよね。理系の大学生っぽい言い方をすれば、接地境界層において風の運動量の鉛直勾配が大きくなる特徴がよく現れています。上図は500mまでで切ってありますが、実際はもっと上空まで調査しており、さらに当日の天気図や気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測データなどと突き合わせながら鉛直シアーの要因について考察する…というような研究テーマの実験でした。
一応僕はアメリカで気象学の基礎を勉強しているものの、実習ではデータの整理やグラフの作成から自分で行なう必要があって、時には周回積分や熱力学の比熱容量など今まで一度もやったことのない計算も必要で、興味本位で学んでみるには負担の大きな科目でした。とは言え、身の回りのお天気や物理の現象について、ひとつずつ自分の手で可視化していくプロセスは刺激的で一生忘れられない体験になりました。指導してくれた教授陣や手助けしてくれた大学院生の皆さん、そしてはるばる筑波大まで付き合ってくれたクラスメイトには心より感謝しています。
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