08.27
アルバニア旅行記 ティラナ観光
バルカン半島の南部にあるアルバニア共和国を訪れました。
中欧で特にマイナーな旅先の一つであり、共産主義時代は鎖国を行なっていたというブッ飛んだ国。現在は民主化が進み、首都ティラナは混沌とした中にも勢いを感じられました。
正直なところ首都に観光名所は少なく、ティラナきっての見どころである歴史的なモスクすら工事中という有様で観光客の興味を惹くものはほとんどありませんが、東欧諸国より遅い1990年に民主化を行なったアルバニアは経済成長の入口にあって、良くも悪くも今まさに変化の渦中にあることが短い滞在でも伝わってきました。
ティラナを離れて地方に向かえば伝統的な家屋が残る「ベラティとジロカストラの歴史地区」や古代都市遺跡「ブトリント」という2つのユネスコ世界遺産があり、いつか改めて訪れたいところ。ジロカストラとブトリントはギリシャに近い南部サランダの町が拠点となります。
行き方
アルバニアは恐らくバルカン半島でもっともバックパッカーを含めた個人旅行者が少なく、その理由は知名度の低さに加えて周辺国から陸路でアクセスしにくい点にあると思います。隣国モンテネグロからは直行のバスが無くシュコドラで乗換えが必要、マケドニアやギリシャからもバスで10時間前後を要します。ここは時間がかかることを覚悟のうえでイタリアやギリシャから船で入るのも面白いかも知れません。
日程が限られているので バルカン半島旅行フライト のページで触れたように空路でルートを組みました。具体的にはセルビアのベオグラードからエアセルビアで入り、エーゲ航空でアテネへと抜けます。以下はティラナ国際空港の出発便の一例。飛行機で来るほどの見どころは無いのですが、今回寄っておかないと一生来る機会を逃すかも知れないので無理やり空の便で繋げました。
ビザ
アルバニア観光は90日までビザ不要。
ティラナ国際空港は国力に不釣り合いなほど立派で近代的、入国スタンプすら無くて拍子抜けしました。着陸から荷物の受取りまでわずか22分という驚異的にスピーディな空港で、これは出国の際も同様です。
両替
ATMで現地通貨レクのキャッシング可能、空港のATMの手数料は700レク。
空港にある銀行窓口でユーロからの両替レートは122.30、市中では126.40でした。滞在が短いので空港で両替してしまい、41ユーロが5,000レクとなりました。再両替も容易です。(2018年5月現在)
治安
首都ティラナの中心部は子供や女性などの人通りも多く日中は問題なく歩ける雰囲気。それより車の運転が恐ろしく雑なので交通事故に注意した方が良さそう。急速な開発が行なわれているせいか整備されているところとそれ以外の差が激しいので、中心部を離れる場合は夜間の移動を避けた方が無難です。
アルバニアの人々は外国人に無関心ですが、声を掛ければ僕ら日本人にもフレンドリーに接してくれました。
空港からティラナ市内へ
空港バスとタクシーがあります。
Rinas Express社のバスは毎時正時の発車で、空港を出て左手のパーキングからタイミング良く出る直前のものに乗車できました。運賃は片道250レク(約2ユーロ)で車内で支払い、現地通貨のみ。スーツケースは自分でトランクに積み、荷物に料金はかかりません。
空港から市内まで所要30分。
ティラナ市内で到着する場所は頻繁に変わるので英語の口コミサイトで最新の情報を得ました。2018年5月現在はオペラ裏にある公園南側(上の写真で左下)に発着しており、地図上にもプロットしてあります。以下の写真は道中に車窓から撮ったティラナの様子で、交通量が多くそこら中で工事をしていました。
ティラナのホテル
ティラナ中心部にあって徒歩で観光ができる大型ホテルは Tirana International Hotel の一択と考えて差し支えありません。よって観光客やビジネス客ともに人気が高く、予約をしようとした時点ではほとんどの日付で満室でした(汗)ちなみに各国でお世話になっているスターウッド系ホテルのシェラトンティラナは Mak Albania Hotel にリブランドされていました。
という訳でホテル予約サイトで比較検討し、評判の良い中級ホテルの Sar'Otel Hotel & SPA に泊まりました。こちらは都心に位置するだけでなく空港バスが発着する広場からも僅か350mで、移動に無駄がなく効率的に動けました。場所が少し分かりにくく外観も地味ですが、室内は新しく清潔で、エレベーターや朝食のサービスもあり。地下にあるスパは担当者が不在で内容は分からず終いでした。
荷物を置いたらさっそく観光へ!
歩道は綺麗に整備されているので歩きやすい。
ホテル近くの空港バスが発着する広場。
後に見えている牛乳パックのような近代的なビルはアルバニアきっての最高級ホテルである The Plaza Tirana です。
そのほかの建物はたいてい古く、通りのお店もエアコンの無いところがほとんど。
多少は観光客も来るのかお土産物屋さんも出ていて安価でした。
地味な集合住宅が建ち並んで無骨な街並み。
乗り方は不明ですが市バスやタクシーも走っていました。
中心部に泊まればティラナ観光は徒歩だけで終わります。
今回は午後2時半に着き、翌日の夜9時の出発。わずか1泊2日ですが時間を持て余すほど。もし地方も見るとなると長距離バスが1日2便だったりするので日帰りは厳しく、まとまった日数が要りそうです。
スカンデルベグ広場 Sheshi Skënderbej
ティラナの主な、というかほぼすべての見どころが集まっている スカンデルベグ広場 Skanderbeg Square。
再開発の計画が二転三転しているそうですが、21世紀に入ってから広場として造成が進んでいます。日中は市民の往来があって明るい雰囲気でした。
上の写真で左手に建っているのが ティラナ・インターナショナル・ホテル です。
ひたすら広いスカンデルベグ広場、実際に歩いてみると地面が波打っているのが少し気になります。何かイベントがあるのか足場を立てており、市民を押し退けて工事用の車輌も往来していました。
スカンデルベグ像 Monumenti i Skënderbeut
広場の正面に建つのは中世にオスマン帝国の支配に抵抗したアルバニアの英雄である スカンデルベグ Skënderbeut(1405~1468)の像。共産主義時代にはここにスターリン像が建っていたそうです。
ジャーミア・エトヘム・ベウト Xhamia Et'hem Beut
1821年ごろに完成した エトヘム・ベイ・モスク Et'hem Bey Mosque。
訪れた2018年5月は修復工事中で内部の見学はできませんでしたが、隙間からは外壁のフレスコ画を見ることができました。木や滝のモチーフはイスラム美術において極めて珍しいそうです。
時計塔 Kulla e Shahatit
モスクの裏手にある鐘楼。
上に登れるそうですが…こちらも閉まっていました。塔の前にいるグループは英語ガイドが引率しており、探せばツアーのようなものがあるのかも知れません。
オペラ Opera
アルバニア国立歴史博物館 Muzeu Historik Kombëtar
ゾグーⅠ世通り Zogu I Boulevard
スカンデルベグ広場から北に延びるメインストリート、四角く切り揃えられた並木が面白い。
反対側、広場の南にはパステルカラーに彩られた建物が集まっていました。
これらはすべて政府機関とのこと。
ムラト・トプタニ通り Shëtitorja Murat Toptani
その南を東西に横切るムラトトプタニ通り。
犬のお散歩や自転車、お年寄りに遊び回る子供たち。木漏れ日が美しく、週末ということもあり人通りが多くて賑やかでした。
陽気で平和な雰囲気に満ち溢れています。
カフェで一休み、指さしで注文してフレッシュジュースを飲みました。
ミレニアム・グルメ Millennium Gourmet Restaurant
通りの中ほどにあるレストランで昼食。ここはインスタグラムで見つけたお店で、なんと日本食からインスピレーションを受けた創作料理をいただけます。北海道産のホタテが使われていたり紫蘇で香り付けされていたり、失礼ながらアルバニアとは思えない調達力とこだわりが窺えました!ただし注文してから出てくるまで恐ろしく待たされたのが残念です。
ムラトトプタニ通りの東端には近代的なショッピングセンター、TOPTANI が開業。
輸入物のセレクトショップがぱらぱらと入っていてテナントは埋まり切っていませんが、上階にはフードコートがあって指さしで注文できるので便利。アルバニア料理はお肉が多いようで、適当に注文したところシチューのようなお肉の煮込み料理は美味しかった!支払いにはクレジットカードも使えます。
ショッピングモールから立派なモスクが見えたので来てみたら建築中でした…どこもかしこも工事中で参りますね。歴史的にオスマン帝国の支配が長かった影響でアルバニアにはイスラム教徒が多いそうです。
感想
なかなか単独では旅先の候補に挙がらないアルバニア共和国ですが、バルカン半島旅行フライト に組み込んで覗いてみることができました。首都ティラナは訪れるにあたって何の不安もありませんが、なにぶん見るものがありません。少し様子が分かったので次回は地方にも出かけてみようと思います。ただしツアーは無いし路面も悪いので、バスに乗るにしてもレンタカーを使うにしても時間を要する旅になりそう。空港バスの停留所すら頻繁に変わる状況なので、もう少し観光化が進むのを待つのが正解かも知れません。
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