10.23
豫園 (中国・上海)
中国にある 豫園(ユーユアン)を見学しました。
上海きっての観光名所であり、その規模なんと2万㎡!明代に作られた庭園に歴史的な楼閣が所狭しと建ち並んでいて見どころ満載です。周辺も名店が集まる一大観光スポットなので、下調べのうえ時間に余裕をもって散策を。
豫園は ウェスティン上海ホテル からだと1kmの距離なので歩けなくもないのですが、今回は会社の車で連れて来てもらいました。もし地下鉄なら10号線の「豫園」駅から徒歩10分くらいです。
豫園の周りは 豫園商城 という門前町になっています。お店と人でごった返しており、ちょっとイメージしていたのと違う…ボーっと歩いていると車に撥ね飛ばされそうです。(笑
何はともあれ、アーケードを潜り抜けて豫園の庭園を目指します。
九曲橋
大きな池が見えたら、九曲橋を渡って豫園へ。この橋、ジグザグになっていて面白いですね!
橋の真ん中に浮かぶように建っているのは上海最古の茶楼である 湖心亭 です。豫園の見物が終わったらここで休憩にしましょう。その向こうに見えているのは上海タワーです。2014年現在建築中ですが、完成すれば上海一の高さになるそうです。
こちらが豫園の地図。
左下に九曲橋があり、渡ったところが入口です。
かなり多くの建物が散らばっているので地図が無いと迷ったり見どころを見落としてしまいそう。園内に順路の案内は無いので見学に地図は必須です。赤い線は今回歩いたルートで、このページの写真もこの順に掲載しています。
豫園は1559年に築かれた明代の庭園で、四川省の長であった潘允端が父親のために作ったものだそうです。それぞれの建物には簡単な説明が出ていますが、本当に簡単すぎて僕自身よく理解できていません。ここでは一口コメントに留め、主な楼閣を写真にてご紹介します。
三穂堂
中に入ってまず正面にあるのが三穂堂(サンスイタン)。
いかにも中国!って雰囲気ですね。1760年築の豫園で最古の楼閣です。
豊作を願って建てられたそうで、装飾からもそれを伺えます。
中には看板が3つ並べて掲げられていました。所有者が変わるごとに名前も変わったのだとか。
目に留まったのは、こちらの手の込んだ細工が施された花窓。
花窓は色々な形のものがあって保存状態も良いので、見比べて歩くと楽しめます。
仰山堂
三穂堂の裏にある仰山堂(ヤンシャンタン)は1866年築のお堂。
池に面して建ち、これは絵になります。反り返った屋根がユニークですね。
仰山堂に足を踏み入れると、正面に 築山大假山 が広がります。
ここは昔と変わらぬ姿らしいのですが…石石石、とにかく石を積み上げまくってあります。僕の感性では、どの辺りがどのように美しいのか正直分かりません…
一方で、少し遠くから見ると優美なカットが望めたり。
水と木と石、そして建物の4要素の調和が江南庭園の肝だそうです。
漸入佳境
まだ先は長いので、迷路のような道をどんどん奥へと進んでいきます。
この回廊にも見どころが散らばっていて一つ一つ意味があるので、余裕があればガイドブック片手に追いかけてみると理解が深まるかと。
漸入佳境を抜けたところにある庭園が 湖石假山 です。
石を愛でるとはあまりに高雅な趣味過ぎて僕には理解不能です。
その手前にあるイチョウの木は樹齢400年とのこと。
万花楼
湖石假山に面して建つ万花楼(ワンホアロウ)。
保存状態がいいですね、清代に再建されたものだそうです。
龍壁
続いての見どころは龍の壁。龍壁(ロンビー)と言うそうです、そのままのネーミングですね。
まるで壁の上を這っているようにくねくねと作られているのが面白い。
こちらは別の場所で見つけた龍壁。
豫園の中には計5体のドラゴンがいるそうなので、探してみてください。
他にも謎の石ころや通路があったりして、凡人には理解しがたい造園がなされています。
庭園というより迷路みたいですね。
このポコポコと穴のある石、太湖石 と言うそうです。長年かけて水によって穴が穿たれた石灰石で、複雑な形のものは奇石として庭園では重宝されたそう。まさに小水石を穿つ、いやいや中国なので漢書にちなんで「点滴穿石」ってところかな。
点春堂
点春堂(ディエンチュンタン)は清代の秘密結社「小刀会」の司令部だったそうです。
中には当時の資料が展示されていました。
この辺りの歴史は1853年に起きた“上海小刀会蜂起”なんてキーワードで検索すると詳しい情報が出てきます。
打唱台
間口の広いこちらの建物は舞台として作られた打唱台(ダーチャンタイ)。
対面して建つ点春堂にて歌を聴いたそうです、なるほど!
見上げたところに快楼。
人が立っていますが、どうやってあそこに行けばよいのか分かりませんでした。
和熙堂
和熙堂(ホーシータン)。色といい扉の格子といい、カッチリした作りが美しい。
ここの見どころはガジュマルの木で作られた家具、200年以上前のものだそうです。
まだ半分も見ていないのに他の2人は「もう疲れた」って顔して座り込んでいるので、ここから少し急ぎ足。
豫園のあちこちにある丸い門は月亮門。これも中国ならではですね。
会景楼
豫園のど真ん中、池と緑に囲まれて落ち着いた環境に佇む会景楼(ホイジンロウ)。
端正な作りで美しい!
周りの空間にも余裕があって、これぞ庭園に佇む楼閣という風情です。
見上げたところに、また龍がいましたよ。
玉を奪い合う龍、だそうです。
九獅軒
池に突き出して建つ九獅軒、こっちも素敵。
得月楼
左手の少し高い所にあるのは月見に使われたという得月楼(ダユエロウ)。これも漢字で見ると分かりやすいネーミングですね。
池には鯉がいっぱい泳いでいました。柳が絶妙な配置で絵になります。
玉華堂
豫園を築いた潘允端のお部屋、玉華堂(ユィホアタン)。中は当時の書斎を再現しているそうです。
玉玲瓏
最後は玉玲瓏(ユイリンロン)。またまた石ですね。
なんでも北宋の皇帝のコレクションで、江南三大名石の一つに数えられるそうです。
英語の説明が少し分かり難いのですが、上から水を流すとひだを伝って水が下に流れ落ちるようです。
積玉水廊
池に架けられた回廊、積玉水廊を渡って出口の方へ。
現代人の感覚ではこの一角が一番絵になるかも知れません。ガイドブックでは見どころという扱いではないようですが…(笑
先にも書きましたが、僕は花窓が印象に残りました。
ヨーロッパの教会でステンドグラスを見て歩くのも楽しいのですが、手の込んだ花窓はいかにも中国っぽくて芸術性を感じられます。
豫園商城
豫園を出ると、また上海の凄まじい喧騒が戻って来ました。
周りは豫園商城となっており、明代・清代を模した建物にショップやレストランがひしめいています。さすが中国、人・人・人!ですね。
名店もあるので、下調べをしてから訪れると良さそうです。
僕らは最初に通った九曲橋の上にある 湖心亭 で中国茶をいただき休憩にしました。
明代の歴史的な庭園ということでもっとゆったりしたものをイメージしていたのですが、とてもゴチャゴチャした作りでした。しかし私庭園でこれだけのものを作り込んだとは凄いですね、かつてはこの倍の5万㎡あったというのですから…
ともかく上海きっての歴史的名所なので外せない見どころです。一通り見るだけで1~2時間、それぞれの建物が何なのか調べながらゆっくり歩くと2~3時間は要します。豫園商城と合わせると、半日は欲しいところ。理解を深めるためにガイドブック持参での見学をおすすめします。
Yù yuán(ユーユエン)
【住所】 中国 上海市黄浦区安仁街218号
218 Anren St., Huangpu, Shanghai, CHINA
【休園日】 なし
【開園時間】 午前8時30分~午後5時30分 (入園は午後5時まで)
【TEL】 +86 21 6328 2465
【URL】 yugarden.huangpuqu.sh.cn/yugarden/
コメント
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こんばんは。日本も朝晩はかなり冷え込むようになりました。
お元気でしょうか?
上海は2010年?の上海万博の折りに訪ねており,記事を興味深く拝見しました。
豫園,大変な観光名所であろうと思われますが,かなりぼろいという印象がありました。中には猫が住みつき,猫の小○の臭いが充満しているような建物もあり,娘と首をかしげました。
記事を拝見したところ,現在は改善されているのでしょうか?
豫園と言えば,自分の思い出はタクシー事件です。
雨が降りだしタクシー乗り場にはタクシーはおらず,うろうろしていると,降りるお客さんのいそうなタクシーを追いかけ,降りたと同時に乗り込むというスタイルを発見!
これに倣い,止まったタクシーに乗り込もうとした瞬間に横から現地の人が・・・
日本語で捲し立て,横取りされるのを阻止したという事件がありました。
上海ではよく中国人と順番争いをしました(笑)
栓抜きビルの入場待ちでも,万博会場でも,横入り中国人と順番争い,私日本語・娘英語で捲し立てていました。
少し前の上海博物館の記事も懐かしかったです。行きましたよ!真剣に回ると相当時間がかかったと記憶しています。
特別展でインドの「踊るシバ神」が見られたのはタイミングよかったです。
川のナイトクルーズもしました。バンドのあたりは少し横浜の海沿いの感じもしました。対岸の宇宙基地のような街並みとの対比はおもしろかったです。
上海はもう一度訪ねてみたいところの1つです。
Kitagawa@Bangkokです、こんばんは。
豫園、僕が訪れた時は割ときちんと掃除やメンテナンスがされていて、汚いと感じることはありませんでした。やはり上海の発展は相当に急速みたいですね、昔の姿を知っているなんてむしろ羨ましい!
そう言えば万博の時、政府が「パジャマでの外出禁止」なんてやっていたのを覚えていて街歩き用にパジャマを持ってきたのですが(笑)誰一人パジャマで歩いている人も見かけずにちょっと残念だったり。
タクシーは苦労しますね~路上で捕まえるのは上海人でも至難の業だそうで。
という訳で、タクシーに乗るときは最寄りの高級ホテルの車寄せから乗車してました。ベルが行き先を伝えてくれるし、さすがの中国人もちゃんと並んでいるし、ロビーに綺麗なお手洗いもあるし、泊まってなくても結構使えます。最近はスマホの配車アプリ(快的打车など)を使って呼び出すのがスマートだそうです。
地下鉄だけはもう乗る気がしませんが、他の見どころも整然と列をなす中国人には正直驚きました。上海もだいぶ変わったと思うので、ぜひまた!僕も今後数年は上海に毎年立寄ることになりそうです。