失われた世界 （グアテマラ・ティカル遺跡）

ユカタン半島の熱帯ジャングルに埋もれ眠るティカル遺跡。
その中でも最古の区画が「失われた世界」、ロストワールド Lost World と呼ばれており…とうとう来ることができました。しかし遺跡の奥深くにあり歩く距離も長く、帰りは迷子になってしまうほどでした。

ユネスコ世界遺産でもあるティカル遺跡観光のハイライトは保存状態の良いグランプラサ周辺のピラミッドや壮麗なアクロポリスですが、Kitagawaが楽しみにしていたのはスペイン語で ムンドペルディード Mundo Perdido、英語だと Lost World、即ち「失われた世界」と呼ばれる神殿群。名前からしてロマンを掻き立てますよね！場所はティカルの南西奥にあり、あちこち歩き回ってようやく到達しました。

失われた世界　Lost World

詳しく紹介している旅行記やガイドブックが少ないのでまずは地図を掲載します。
失われた世界にも数多くの遺構がありますが、オレンジ色で示した３つの建物が特に目立つので当ブログでもこの３か所の写真を掲載しました。

by Simon Burchell, Licensed under CC BY-SA 3.0

ロストワールドの大ピラミッド
　Great Pyramid

大ピラミッドは５度も再建されており、古くは紀元前600年まで遡るようです。
現在見られるピラミッドは200～300年頃に建てられた第５期のもので、高さ約31m。基礎は中央部で南北72m、東西68mあり、完成時は最大の建築物だったそうです。失われた世界の中央を占める大きな遺跡ですが、目立つことも無く密林に埋もれ静かに佇んでいました。

タルータブレロ神殿
　Talud-Tablero Temple

実際に来てみて気に入ったのは大ピラミッドの北にあるタルー・タブレロ様式の神殿跡。
頂上に神殿の遺構があり、鬱蒼と生い茂る緑の隙間から見上げたそれは神秘的。失われた世界で２番目に高く22mあり、やはり何度も再建されています。

何より特徴的なタルー・タブレロ様式の石積みはメキシコの テオティワカン遺跡 を彷彿とさせるもの、必見です！迫力の大階段は崩れかかっていますが、途中まで登ってこのページ先頭の写真を撮ってみました。
副葬品とともに墓室も発掘されており、700年以降は葬儀に重要な役割を果たしたそうです。

頭蓋骨の神殿
　Temple of the Skulls

失われた世界の東側、イースト・プラットホーム East Platform にも石造りの建物の遺構が連なっていました。この辺りは位置関係が分かりにくく、自然に飲み込まれて正に失われつつあるようです。

その中央でひと際目立つ建築物は壁龕の装飾から「頭蓋骨の神殿」と呼ばれています。
これは700年頃に増築されたもので、元々は裏側の「７つの神殿」に面して５つの入り口を持っていた建物に重ねるように建てられ、失われた世界で３番目に大きな建物となっています。

一年の中でもっとも暑くて日照時間の長い５月に訪れています。
倒れるほどの熱気なので曇りの日を狙って来ていますが、想像以上のスケールで思いのほか体力を使いました。道が分かりにくく見どころの間も歩くしかないのですが、公園内は安全なので余裕があればぜひ奥深くまで足を延ばしてみてください。

ティカル国立公園へのアクセスや中心部グランプラサ周辺の定番スポットについては ティカル遺跡観光 のページに情報をまとめています。中米で最後の未訪問国グアテマラ、いつか自分の足で歩くことを夢見たティカルの失われた世界をじっくり見学できて大満足！翌日はベリーズシティやマイアミを経由して空路で北米に戻りました。

参考文献

・世界遺産を旅する（11）メキシコ・中米・カリブ海（近畿日本ツーリスト刊）
・ユネスコ世界遺産（2）中央・南アメリカ（講談社刊）

2017年, '17 グアテマラ