2025
09.13
イランからトルクメニスタン 陸路 国境

旅人泣かせ?イランからトルクメニスタンへの陸路国境越え

ここは旅慣れた人向けの陸路国境です。安全に通れるものの、準備にも現場でも何かと時間がかかりました。イランのマシュハドからクーチャーンを経由し、Bajgiran-Gaudanの国境を越えて、トルクメニスタンの首都アシガバードまで移動しました。ビザを持っていてもスタンプをもらうのに2時間もかかるとは(汗

4か国語以上を話し、世界100か国以上を旅してきたKitagawa。
今年の旅行計画は 年初に示した通り の21か国で、この夏は26日間をかけて中央アジア5か国(トルクメニスタンウズベキスタンタジキスタンキルギスカザフスタン)を巡ります。

その最初の国となるトルクメニスタンにはイランから陸路で入国します!
トルクメニスタンとイランのどっちが厄介かって訊かれたらどうでしょうか…両方ともかなりややこしい国であることは間違いありません(笑

でもせっかく“謎の国”であるトルクメニスタンに行くのだから飛行機では面白くないし、ウズベキスタン経由はみんながやっています…ここはイランから入国して、トルクメニスタンを南から北へと陸路で縦断してみることにしました。

トルクメニスタン入国に必要なこと

トルクメニスタンは現在のところ自由な個人旅行ができず、観光にはツアーの手配とビザの取得が必要です。詳しくは当ブログの 日本でのトルクメニスタン観光ビザの申請・取得 のページをご覧ください。

イラン渡航はアメリカ入国に影響あり

イランへの渡航歴があると将来アメリカ入国時にESTAが使えず、ビザ申請が必要になる点にも留意しなければなりません。

ここでは詳しく触れませんが(Kitagawaは昔からアメリカのノンイミグラントビザを持っています)合衆国ビザの申請・取得は必ず大使館で面談があるなど時間と手間がかかります。したがって、既にイランを訪れたことがある人や絶対にイラン旅行もしたいという人以外は イラン以外の国(例えば陸路ならウズベキスタン)からトルクメニスタンに入国すること をおすすめします。

全体の流れ

イラン国内は自分で移動して、トルクメニスタン側はツアー会社に国境まで迎えに来てもらいます。トルクメニスタン旅行は基本的に一日何ドルという見積りなので、僕らが利用した旅行会社はアシガバード空港での出迎えでもイラン国境での出迎えでも料金に違いはありませんでした。以下は実際にかかった時間です。

  • マシュハド → クーチャーン: 2時間(休憩を含む)
  • クーチャーン → バジギラン国境: 1時間半(コピー屋への立ち寄り含む)
  • イラン側イミグレ: 15分
  • トルクメニスタン側イミグレ: 2時間(ガイドの到着待ち1時間を含む)
  • ゴーダン国境 → アシガバード: 1時間

ポジショニング: まずはイランのマシュハドへ

イランからトルクメニスタンへ陸路で越境する場合、イラン第二の都市 マシュハド Mashhad が起点になります。首都テヘランからの距離は900km。そこで、まずは飛行機・バス・鉄道でマシュハドへ向かいます。

テヘランとマシュハドの間の移動、前回のイラン旅行ではのんびり夜行列車に乗ってみましたが、今回は イランエアツアーの国内線 で飛びました。

マシュハドから国境へ

イラン国内のルートを以下の地図に黄褐色のラインで示します。
まずはマシュハドから クーチャーン Quchan に行き、そこから バジギラン Bajgiran の国境まで北上します。マシュハドからクーチャーンまではイランの配車アプリ Snapp! が利用できますが、クーチャーンから国境まではアプリの範囲外なので要交渉となります。

でもクーチャーンで車を乗り換えるのはダルい。そこでマシュハドから国境まで同じドライバーに通しでお願いしました。車代は 15,000,000リヤル(17 USD)。ちなみに交渉は一緒に旅行してる大学の友達が前日のうちにWhatsAppで済ませてくれて、出発日の朝はマシュハドのホテルの前に車が召喚されていました!神過ぎます!

お世話になった車はこんな感じで、途中で休憩したときに撮ったものです。

イラン タクシー

朝8時ちょうどにマシュハドのホテルを出発。
マシュハドからクーチャーンまで140km、国道22号線を北西に走ります。マシュハドからクーチャーンまでバスが無いわけではないと思いますが、大した金額ではないのでタクシーを使ったほうが良いでしょう。イラン国内の道路は完全に舗装されているので移動はすこぶる快適でした。

マシュハドからクーチャーン

クーチャーン
Quchan

出発から2時間(休憩時間を含む)、10時ちょうどにクーチャーンに着きました。

Quchan

わざわざ市内に入らずに迂回したほうが早く国境に着くのですが…実はトルクメニスタン入国に必要な招聘状(LOI)を印刷してくるのを忘れたことに車に乗ってから気付いて、クーチャーンのコピー屋さんに寄ってもらってプリントアウトした次第です(汗

イラン クーチャーン

気付いて良かった~持ってなかったらガチでヤバい。
僕は車に座ってただけですけどね、友達はイランの地域研究が専門でペルシャ語もペラペラなので心強い。気を取り直してクーチャーンからバジギランに向かいます。

イランからトルクメニスタン 陸路 国境

はげ山の間をくねくねと北上、辺境なので交通量が激減しました。
車窓から山の麓に見えた建物がイラン側の国境事務所だとドライバーさんが教えてくれました。

Bajgiran - Gaudan border

バジギラン
Bajgiran

バジギランはイラン-トルクメニスタン国境の手前の集落で、国境の名前にもなっています。地図を見る限り商店や安宿などもあるようです。
下の写真で左上の国旗が立っている場所が国境です。

Bajgiran

Bajgiran

イラン側バジギラン国境
Bajgiran Border Control

バジギランの集落の北端に税関があります。ここは車で通過しました。

バジギラン国境 Bajgiran border

国境までは意外に距離があってさらに1.5kmほど走りました。
夏のイランはとても屋外を歩けるような気温ではなく、また上り坂なのでイミグレの建物前まで車で連れて来てもらった方が良さそうです。

運転手さんは過去に来たことがあるようで、途中迷うこともなく午前11時半にバジギランの国境事務所前に車を着けてくれました。マシュハドから3時間半かかっていますが、休憩したりコピー屋さんに寄ったりしなければ3時間くらいに収まりそうです。

バジギラン国境 Bajgiran border

トイレは割と綺麗で無料で使えました。
出国手続きのブースは一つのみで係の人も一人だけでしたが、パスポートを出して座って待っていたら数分で終わりました。ちなみにイランは出入国の印がありませんが(パスポートにイランのスタンプがあると出入国に支障が出る国があるためです)ここで無理を言ってイランの出国印をパスポートに捺してもらっちゃいました(笑

イラン 出入国印

イラン側の出国が終わったら自分で歩いてトルクメニスタン側のイミグレに向かいます。
イランとトルクメニスタンには1時間半の時差があり、時刻はイラン時間で午前11時45分、トルクメニスタン時間で午後1時15分です。

ガチ大変!トルクメニスタン入国

トルクメ側のイミグレは白い石造りの二階建ての建物。手前のゲートでパスポートのチェックがありました。中はホールが一つで、窓口は3つ。英語はしっかり通じます。

イランへの買出し?からの戻りっぽいトルクメニスタン人が列も作らずに窓口に集まっており、その中に混ざって空くのを待ちました。順番が来たら日本の赤いパスポートを出します。係の人は難しそうな顔をしており、さらに入国目的を「観光」と言った瞬間、顔色が明らかに変わりましたね(汗

もちろん観光ビザを持っているのですが、隣の窓口に回され、元の窓口に戻り、また隣の窓口に回され…これは時間がかかりそうな感じ。結局、最初の窓口に戻って来たのですが、旅行会社のツアーならガイドが迎えに来るはずだからその人と電話で直接話をさせろと言われてしまいました。

トルクメニスタン側のイミグレーション、幸いにもイランの携帯電話の電波が入るため、何とかWhatsAppを使って旅行会社の担当者に発信することができました。彼らの話し合いの内容は分かりませんが、口調はなかなか険悪です。その結果「このガイドがここに迎えに来るまでは通せない」とのこと。それは問題ないのですが、ガイドさんと合流するまで(別のトラブルが発生して)予想以上に時間がかかりました。

とは言え一応話が進んだので、次に別室へ。
既に到着してから45分ほど経ち、午後2時を過ぎたところです。

たぶん責任者の人か何かのお部屋だと思うのですが、手数料10 USDとコロナの抗体検査の費用33 USDが必要とのことで、米ドル現金で支払い。領収書をもらえたので正規の費用のようですが、一人当たり2ドル分お釣りが足りないことは追及しませんでした。ちなみにビザを日本で取ってきたと言ったら少し驚いた様子だったので、きっと招聘状(LOI)だけを持ってきたらこのお部屋でオンアライバルビザが発給されるのだと予想します。今どきコロナなんて過去の話ですが、抗体検査も本当に行なわれました。別室と言ってもこの責任者っぽい人は話がしやすく仕事もスピーディーで好感を持てました。

そうこうしているうちにガイドさんが到着し、着いたら着いたで僕らのトルクメニスタンでの旅程を係の人に窓口で説明。係の人はそれを一つずつコンピューターに打ち込んでいるようです。招聘状の承認を受けるときにスケジュールは国家移民庁に出してあるだろうと思わずにはいられませんが、ここは待つしかありません。この会話はロシア語で行なわれており、僕は第三外国語がロシア語だったので多少解かるのですが、めっちゃ細かく質問されていました。でも指示された通りにガイドさんが参上したのでイミグレもちゃんと入国印を押してくれました。

実際は割と自由に旅行できます

日程表をガチガチに作っていますが実際はそんなの無視して観光客の希望に合わせてガイドさんとドライバーが柔軟に動いてくれました(と言うか僕らは日程表を一度も見ていない、笑)。入国しちゃえば割と自由に観光できて驚きました。

きちんと見れば意外に普通の国です

不気味な国だと言われがちですが、それは見聞が足りない感想だと思います。アシガバードだけならぜひ人出の多い夜の公園やショッピングモールを、可能ならアシガバード以外の地方都市も観光してみてください。ほかのアジアの都市と変わらない雑多で活気ある市民の生活があって安心できるはずです。

午後3時20分、トルクメニスタン入国。

トルクメ側のイミグレでは2時間もかかりましたが、きちんとガイドさんが待機してくれていれば1時間もかからないと思います。ホールには座れるイスがありますし周りに人がたくさんいるので、思っていたほどピリピリした雰囲気は感じませんでした。係の人は口調が高圧的ではありますが、それでも基本的に英語を話してくれるので助かります。訊かれたことに答えて(訊かれていないことはわざわざ自分からは話さず)大人しく待っていればそのうち入国できるはずです。

ちなみにこのガイドさん、あんなに細かく旅程を説明していたのに実は僕らのガイドさんではない“替え玉”だったらしくて、そっちのほうに驚きました!

どうやら最初は本当のガイドさんが来るはずだったものの、国境地帯に外国人を迎えに行くための許可書がなぜかゲートで拒否されてしまいイミグレまで来ることができず、許可証を持っている別の車とガイドさんをアシガバードから呼んだようです。なぜ拒否されたのかはまったく分からず、代わりの人と車の手配に時間を要したとのこと。ちなみに許可書をチェックするゲートは国境の30kmも手前にあって鉄壁のガードです。別にトルクメニスタンは鎖国しているわけじゃないのに、本当に外国人には近づいて欲しくない感じがしますね(笑

ところで、後から考えればガイドさんをイミグレまで呼び付けてくれてとても良かったと思います。と言うのも、通過して分かりましたがトルクメ側のイミグレ前には冗談抜きで何も無いし地獄の暑さでした。今回は時間がかかったものの、少なくとも室内で座って待っていられたので体力的には楽でした。僕はコンセントから盗電してパソコンを起ち上げてスマホのディザリングで仕事を片付けていたので、待ち時間もそれほど苦になりませんでした。

トルクメニスタン側ゴーダン国境
Gaudan Border Control

トルクメニスタンの国境事務所。
前述の通りここの30kmも手前にチェックポイントがあるので、流しのタクシーなどは来ないと思います。

Gaudan - Bajgiran border

トルクメニスタンでは外国人観光客が入手できるようなSIMカードは存在しません。SNSも軒並み規制されており、イランのようにVPNで突破することもまず不可能。この辺りの事情は トルクメニスタンのインターネット事情 のページをご参考に。

イラン国境からアシガバードへ

トルクメニスタンの首都アシガバードまでは50kmなので1時間もあれば着くはず。
国境は標高1,700mくらいに位置するので山道を一気に下っていきます。

ゴーダン・バジギラン国境からアシガバード

アシガバードの街並みを遠望できました。
噂通り、本当に建物が全部白い!ようやくトルクメニスタンに入国したんだと実感しました。

トルクメニスタン アシガバード

まずはアシガバードに2泊3日の滞在。

さっそく観光を開始!としたいところですが、まだお昼ご飯を食べていないので遅めのランチにしました。連れて行ってもらった Restoran Nusay はお客さんごとに戸建ての個室という、どう考えても外国人観光客用っぽいレストランですが、出てきたお料理は凝った味付けで非常に美味しい。特にオイルのかかったチキンはガーリックとペッパーが効いていてとんでもない旨さでした!いっぱい注文しましたがツアー代に込みだそうです。

Restoran Nusay

この日真っ先に訪れたのはトルクメニスタンの世界遺産でもある ニッサのパルティア要塞群 です。初日からいくつも観光名所に連れて行ってくれました。主な見どころは当ブログ内の トルクメニスタン旅行記アシガバード観光 のページにまとめているのでぜひご覧ください。

プロフィール
Kitagawa

Kitagawa
南国のアイランドリゾートから地球の果ての辺境まで、4か国語の会話力を駆使して2008年から2025年までに100か国以上を旅しました!飛行機の搭乗歴は1000回を超え、2012年にはFAA(アメリカ連邦航空局)のパイロットライセンスも取得。バンコク在住。
当ブログでは今まで訪れた旅先から、写真を18799枚と心に残った体験を1202件公開しています。(2025.09.13)

2025年, '25 イラン, '25 トルクメニスタン

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