09.29

ゴクルメッド寺院 Gokul Medh(バングラデシュ・マハスタンガル)
網目状の構造がユニークで緑の芝生とのコントラストも印象的な ゴクル・メッド寺院 Gokul Medh の遺跡を訪れました。ベンガル地方ならではの仏教とヒンドゥーの重なりを感じられるおすすめの観光名所です。
旅程・行き方
一週間をかけた初のバングラデシュ旅行で、ボグラに3泊4日で滞在しました。
まずは丸一日かけてユネスコ世界遺産の パハルプールの仏教寺院遺跡群 へ日帰り観光。さらに一日を使って モハスタン仏教都市遺跡 を丁寧に見て廻りました。さぁ帰ろうかというタイミングで、通りにいたリキシャ漕ぎのおじいさんから Gokul Medh は見たのか?とリキシャの横に貼られた写真を指して訊かれて…この有名な場所を見落とすところでした(汗
モハスタン Mahasthan からは3kmほど離れた森の中にポツンとあるようなので、そのおじいさんのリキシャで連れて行ってもらうことに。位置的にボグラへ戻る最後に立ち寄るとよいと思います。
ボグラからマハスタンガルまでは来るときも帰るときも CNG(トゥクトゥク)で片道150タカ(183円)。遺跡前で交渉すると倍ぐらいは平然と提示されるので上手く交渉を。
গোকুল মেধ
バングラデシュ ボグラの北およそ12km(車で片道30分)
【入場料】 500タカ(4 USD)
現地通貨現金のみ
Gokul Medh(ゴクルメダ、ゴクルメド、ゴクルメッド、ゴルクメドゥ)は1931年に発見された古代遺跡。
別名 Behula-Lakshmindar の Bashor Ghar とも呼ばれているようです。ベフラ・ラクシミンダーは民話に登場する女性で、バショール・ガルとは新婚夫婦が初夜を過ごす部屋とのこと。遺跡は丘のようになっており、長さが80m、幅が56mほど。高さは地平面から13mあります。
粘度の高い土で壁を造った多くの部屋が発掘されており、その数は172室。大きさはさまざまですが、列ごとに高さが異なっており、塚のうえに建てられた寺院や仏塔の基礎となっていたのではないかと考えられています。
以下に見つかった“部屋”のレイアウトや発掘時の様子をインド考古学調査年次報告書(1935~1936年)より引用して示します。
遺跡はレンガで補強されていて上に登ることもできます。
遺構そのものとは言えないかも知れませんが、人工的なレンガと鮮やかな芝生のコントラストが Gokul Medh を映えさせます。実際、バングラデシュの学生さんたちが熱心に自撮りを楽しんでいました。
下の写真は頂上からの眺め。
塚のうえは平坦になっていて祠の土台になっていたと考えられていますが、そこに壁があった形跡は見つかっていません。頂上部の遺構の周りを歩くとこの土台が八角形であると分かるので現地で注意深く観察してみてください。(航空写真でも確認できるはずです)
発掘で見つかったテラコッタの装飾から Gokul Medh は6~7世紀の仏教寺院であったことが判明しています。一方、現在頂上に残る長方形や円形の遺構は一度寺院が壊された後の11~12世紀に再建された神殿のもの。
この神殿の中からは人骨が発見されたそうです。
また、レンガ造りの丸い穴の中から雄牛が描かれた金箔が見つかったことから、シヴァ神を祀った祠だったという説が示されています。
なお、Gokul Medh の解説は Naheed Sultana氏による近年の研究成果の整理がもっとも読みやすいと思います。ACCU(ユネスコ・アジア文化センター)のレポートへのリンクを掲載しますので、詳しく知りたい方はぜひ参照してください。
www.nara.accu.or.jp/img/dissemination/29th.pdf
感想
バングラデシュに点在するベンガル遺跡は、仏教、ヒンドゥー、イスラム教の交差が見られるのが大きな特徴だと思います。このように6~7世紀の仏教寺院の基礎のうえに残る11~12世紀のヒンドゥー寺院の遺構を目の当たりにすると、仏教王朝パーラ朝の誕生とその後のヒンドゥー王朝セーナ朝によるベンガル支配への移り変わりを感じられるのではないでしょうか。ベンガル地方は(イギリス植民地時代の「ベンガル分割」のように宗教対立を煽られた歴史もありますが)今もヒンドゥー教徒とイスラム教徒がともに暮らしており(ボグラ中心部にもヒンドゥー寺院がありますしダッカでは仏教寺院への参拝客も絶えません)はるか昔から多様性や共存の文化が育まれてきた素地があるのだと考えさせられました。
Annual Report of the Archaeological Survey of India, 1935-36
現地解説(ベンガル語・英語) (477 KB)
ACCU International Correspondent Vol.29 (8.7 MB)
最後にベンガル語のコカコーラの写真。
訪れたのは雨季ど真ん中ですが、運よく晴れてくれました…それでも太陽が雲に隠れることがあり、綺麗な写真を撮るために冷たいコーラを飲みながら日差しが戻るのを待ちました。バングラデシュのコーラ、遺跡の前の売店で買ってもスーパーと同じ値段なのがありがたいけど不思議です(笑
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