09.11

タジキスタン旅行記 ドゥシャンベ観光
中央アジアに位置するタジキスタン共和国の特徴を簡単にまとめたうえで、首都ドゥシャンベ観光で訪れた主な観光名所や見どころを一覧で紹介します。活気あふれる日中だけでなく美しい夜景も必見。タジキスタン旅行のご参考になれば幸いです。
タジキスタンってどんな国?
タジキスタンと聞いてもピンとこない人が多いのではないでしょうか?既に100か国以上を旅しているKitagawaですら来るまではその場所すらあやふやでした…何とかスタンって国が周りに多過ぎて(笑
タジキスタン共和国は中央アジアの内陸国で、西をウズベキスタン、北をキルギス、東を中国、南をアフガニスタンに囲まれています。地理的な特徴として、国土のほとんどが山岳地帯であることが挙げられます。今回は首都ドゥシャンベにもっとも近い ウズベキスタンのサマルカンドから陸路で入国 しましたが、荒涼とした山脈がはるか彼方まで続いており、タジキスタンが山岳国家であることを実感しました。さらに、タジキスタンに就航している航空会社も限られているため、恐らく中央アジアでは(ビザの取得が難しいトルクメニスタンを除けば)もっとも外国人観光客が少ない国ではないかと思います。
旧ソ連の崩壊にともなって1991年に独立したタジキスタン共和国。国民の多数を占めるタジク人はタジク語を話します。今回一緒に旅行した友達は大学でイランの地域研究をしており、タジク人とはペルシャ語で意思疎通を図っていました。これは中央アジアでもタジキスタンだけの特徴で、少し乱暴ですが民族的には タジク人=イラン系、中央アジアのほかの国すべて=トルコ系 と分けてしまって差支えないでしょう。もちろん、ほかのCIS諸国と同様にロシア語も通じますし、レストランのメニューなどには必ずロシア語が併記されているので助かりました。宗教をみると、国民のほとんどはムスリムで、うち9割前後がスンナ派(パミールの方はシーア派)が占めています。ちなみにパミール地方(ゴルノ・バダフシャン自治州:GBAO)に入域するには事前にパーミットの取得が必須となっています。
タジキスタンの人口は約1,000万人。そのうち120万人が首都ドゥシャンベに住んでいます。上の写真はホテルのお部屋からの眺めで、新しいビルを次々と建てている様子が伺えました。さっそく観光に出かけてみると、町の中心にある公園周辺は非常に整然と整備されていて驚きました。特に夜は下の写真のように派手な噴水やライトアップがドゥシャンベの町を彩ります。恐らくラフモン大統領が強力な指導力を発揮して街作りを進めているのでしょう、至るところに大統領の肖像画も飾られていました。
一方、日中はそこかしこで道路工事が行なわれているため渋滞も激しく、ちょっとした移動にも時間がかかりました。いずれにしても活気があり、とても低所得国とは思えない町並みに驚かされました。というのも、タジキスタンはガスや石油などの資源に乏しく経済発展が遅れており、出稼ぎ労働者からの送金が国を支えている面があります。実はこの後タジキスタンから飛行機でカザフスタンへ向かったのですが、同乗していたタジク人はほぼ出稼ぎ労働者らしく、到着した空港のイミグレで半分以上が別室に送られていました…はたして彼らは無事入国できたのか気になるところです。
ドゥシャンベの市内交通
ドゥシャンベ市内には緑色のタクシーが数多く走り回っており、メーター制なので観光客でも安心して利用できます。運賃は近距離で10~25ソモニ(158~395円)でした。配車アプリはまだタジキスタンに来ていなかったので手を挙げて拾いましたが、場所や時間帯によっては空車を見つけるのに苦労します。
荷物が少なかったり慣れてきたらミニバスやトロリーバスも便利です。ICカード化が進んでおらず現金で乗車できるのも旅行者にとっては助かります。特に25番のミニバスの路線が観光に便利で、一回 2.5ソモニ(40円)。またトロリーバスは市内から5kmしか離れていないドゥシャンベ国際空港に行くルートもあって、最終日に乗ったところ運賃は 2ソモニ(32円)と激安でした。
ドゥシャンベの見どころ
前置きが長くなりましたが、ここではドゥシャンベの観光名所をまとめて一覧で解説します。当ブログで取り上げた見どころは以下の地図に赤・緑・水色のアイコンで示してあります。ドゥシャンベには2泊3日で滞在しましたが、頑張って駆け回れば一日で市内観光も可能だと思います。
どこが観光できる場所なのか公的な情報があまり出ておらず困ったものですが、タジキスタン国立博物館は外国人観光客が確実に中に入って見学できると思います。個人的には ナヴルーズ宮殿の見学がドゥシャンベ観光のハイライトになった ので強くおすすめします。市内を移動していれば面白い形の記念碑がいくつも目に留まるので、それらを写真に収めるだけでも楽しめそうです。
ナヴルーズ宮殿
Navruz Palace (Kokhi Navruz)
ドゥシャンベ最大の見どころ、ナヴルーズ宮殿 Navruz Palace。ガイドツアーに参加することができ、贅を尽くしたホールの数々に圧倒されました。国際的なサミットや国家的なイベントに使用されるようですが、映画館やボーリング場も併設されているなど謎めいた造りでした。




タジキスタン国立博物館
National Museum of Tajikistan
訪れた国では必ずミュージアムを見学しているのでドゥシャンベでも行ってみました。建物の大きさに対して展示が追い付いていない印象。特に解説が物足りないですね(あれもこれも Decorative composition では説明になっていない、笑)詳しく知りたければ有料のガイドを頼んだ方が良さそう。鉱物の展示が充実しておりタジキスタンらしさを感じました。




ルダキ公園
Rudaki Park
ドゥシャンベ中心部の広々とした公園。サーマーン朝の時代に活躍したペルシャ語の詩人、ルーダキーに因んでおり、立派な像も建っています。真夏の日中はとても暑いので日没後に来ていますが、涼しくなる夜は子どもたちも遊んでいたりしてドゥシャンベの治安の良さを感じます。この公園の周辺に多くの公的な建造物や記念碑が集まっており、以下それらを紹介します。
タジキスタン国会議事堂
Tajikistan Parliament Building
通りを挟んでルダキ公園の向かいにあるタジキスタン国会議事堂。中国からの支援による建設です。ライトアップされた噴水が美しくて格好の写真撮影スポットになっていました。そうそう、満月がとても綺麗な夜でした!
タジキスタン国立図書館
National Library of Tajikistan
2012年にオープンした国立図書館の新館はまるで高級ホテルのような存在感。ここは無料で利用・見学できるという情報もあれば門前払いされたという旅行記もあって、詳細は不明です。
ドゥシャンベの記念碑
中央アジアの最貧国に位置付けられるタジキスタンですが…それに似つかわしくないほど立派な記念碑がドゥシャンベに点在しています。1994年から現在まで権力を握るエモマリ・ラフモン大統領は独裁と言われており、これら記念碑からも権威主義的な香りを感じなくもありませんが、トルクメニスタンの首都アシガバードの記念碑ほどはぶっ飛んでいないようです。
イスティクロル記念碑(独立記念碑)
Istiklol Monument
イスティクロルとはタジク語で独立を意味しており、タジキスタン独立31周年を記念して2022年にオープンした独立広場と独立記念碑。移動中の車から遠望するだけになってしまいました。
ニザヴィシマスチ記念碑(独立記念碑)
Nezavisimosti Monument
ロシア語で Монумент Независимости なのでこちらも独立記念碑ですね、タジキスタン独立20周年を記念して2011年に建立。頂上で黄金色に輝いているのはタジキスタンの国章です。
イスモイル・ソモニ記念碑
Ismoil Somoni Monument
サーマーン朝の創始者、イスマーイール・サーマーニー Ismoil Somoni(849-907年)を讃えて建てられた記念碑。タジキスタンのお金の単位、ソモニは彼の名前に因んでいるそうです。
ドゥシャンベ旗竿
Dushanbe Flagpole
国旗広場 National Flag Park に建つタジキスタン国旗は高さ165m。2014年にジッダの旗竿に抜かれるまでは世界一高い旗竿としてギネスブック記録だったものです。
ドゥシャンベで買い物
中央アジアではすべての首都でショッピングモールとバザール(市場)を見ているのでタジキスタンでもそれに倣いました。ちなみにドゥシャンベという町の名前はペルシャ語の「月曜日(ドゥシャンベ دوشنبه)」から来ており、市場のあった場所が発展して今の首都が築かれたのだとか。
メフルゴン・バザール
Mehrgon Market
中央アジアのほかの国のバザールと違って立派なファサードを持った建物に市場が入っており、中も巨大な吹き抜けのホールになっていました。旧バラカットバザールの閉鎖にともなって建てられ、3階建て1万平米。各国で買い集めているマグネットをここで購入しました。
ドゥシャンベ・モール
Dushanbe Mall
ドゥシャンベ中心部にあるショッピングモールですが、地元の人の口コミも賛否両論で、観光客にとっては薄暗くて退屈な場所かも知れません。館内は空調が効いておりフードコートにはファストフードもありました。
タジキスタンは国土の大半が山地で見どころが限られているため、初訪問となる今回は首都ドゥシャンベのみの滞在としました。来るまでは“山の向こうの最貧国”というイメージで少し怖かったのですが、来てみたら明るく治安も良い町で(ムスリムの国は基本的に親切で治安が良いことが多い)楽しく観光できました。中央アジアを周遊していてもタジキスタンはアクセスが悪くて抜け落ちやすいので、サマルカンドから陸路でドゥシャンベへ移動 してみて良かったと思います。ほかにタジキスタンの主な都市は第二の ホジェンド Khujand くらいでしょうか。ホジェンドはシルクロードの要衝として古くから栄えた町で、ウズベキスタンの首都タシケントから日帰りで観光したほうがアクセスが良いので改めて訪れたいと思います。この後は飛行機で一気に 未来都市アスタナ へ。さすが中央アジアでもっとも経済発展が進んだカザフスタンの計画都市であり、ギャップが強烈なのでぜひ比べてみてください。
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