2025
09.05
カザフスタン国立博物館

中央アジア一のミュージアム、カザフスタン国立博物館

中央アジア各国のミュージアムを見て廻った結果、ここが断トツのコレクションだと思います!今日はカザフスタンの首都アスタナにある カザフスタン国立博物館 National Museum of the Republic of Kazakhstan で気になった展示を紹介します。

この夏は26日間をかけて中央アジア5か国(トルクメニスタン・ウズベキスタン・タジキスタン・キルギス・カザフスタン)を周遊し、それぞれの国の首都にある一番大きなミュージアムを訪れました。(Kitagawaは今年の春まで大学で博物館学芸員課程を取っていたくらいミュージアム好きなんです)

その中でもコレクションだけでなく展示や解説が飛びぬけて素晴らしいと感じたのがカザフスタン国立博物館。ここを見るためにアスタナに立ち寄る価値があると思います。市内の主な見どころは 未来都市、アスタナ観光 のページにまとめているのでご覧ください。

カザフスタン国立博物館
National Museum of the Republic of Kazakhstan

【住所】 54 Tauelsizdik Avenue, Astana, KAZAKHSTAN
   カザフスタン共和国 アスタナ タウエルシズディク通り
【入館料】 2,000テンゲ(557円)
【TEL】 +7   7172 91 90 35
【URL】 nmrk.kz/

カザフスタン国立博物館はアスタナの中心にある独立広場に面しており、その外観も特徴的。建物の一部にあしらわれた青いガラスが空を反射してカザフの国旗を思わせます。ミュージアムは7つの建物で構成され、最大で9階建て。総面積は14,000平米にもおよび、11の展示エリアに分けられていました。

カザフスタン国立博物館

National Museum of the Republic of Kazakhstan

入場券

入場券

館内マップ

カザフスタン国立博物館

カザフスタン国立博物館
National Museum of the Republic of Kazakhstan

主な展示室は、アスタナ・ホール、古代・中世史ホール、歴史ホール、黄金ホール、カザフスタン伝統文化ホール、カザフスタン独立ホール、現代美術ホールなど。ただし建物の位置関係が分かりにくいので、まずは館内マップをもらってルートに沿って見学すると見逃しが無さそう。館内には外国人観光客だけでなくカザフ人の見学者も多く、来場者からの期待が高い国立博物館のようです。一部の特別展は別途料金が必要でした。

National Museum of the Republic of Kazakhstan

展示品を順に並べると終わらなくなってしまうので、注目したいくつかのコレクションだけ以下に掲載します。公式サイト上には主要なホール内をバーチャル体験できるページも設けられています。
nmrk.kz/en/structure/funds/halls/

恐竜の化石

ティラノサウルス Tyrannosaurus Rex、巨大な恐竜は迫力ありますね。
昨年訪れたモンゴルも凄かったけどカザフスタンも化石の宝庫です。

恐竜の化石

遺跡のレリーフ

中世の都市跡からの出土品が保存・展示されています。
下の写真はジャンブール地方のKulanで発掘され、8~9世紀のもの。現地に行っても観光客の興味を惹くような遺跡がないので、こうして博物館で綺麗に整理されたものを見られるのは助かります。

Kulan, Kazakhstan

焼成粘土に刻まれた精巧な模様のモチーフはグレートシルクロード沿いの都市で見られるもの。現在のKulanは小さな集落ですがかつてはグレートシルクロードにおける要衝であり、これを含むカザフスタン国内8か所のほかキルギスと中国にまたがる合計33物件でユネスコ世界遺産「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」を構成しています。

シルクロード

黄金の人間(ゴールドマン)
Golden Man

カザフスタン国立博物館は金製品だけを集めたホールがあり、紀元前まで遡って展示しています。目玉は以下の「黄金の人間(ゴールドマン)」で必見。オリジナルは1969年にアルマトイ近郊のイシク・クルガン Issyk kurgan の墳墓で発見され、紀元前500~紀元前400年の制作。サカ Saka 族の長の衣装と考えられています。展示品は1996年に作られた精巧な複製です。

Golden Man

キュル・テギン碑文
Monument to Kultegin

こちらはKitagawaが個人的に関心を持ったコレクション。複製ですけどね、突厥碑文の中でも特に有名な一つで突厥文字(古代テュルク語)で歴史が刻まれています。

Monument to Kultegin

この碑文は 昨年旅行したオルホン河畔 の Khushuu Tsaidam でオリジナルが発見されています。ちなみに現在オリジナルは Khushuu Tsaidam Museum にあり、ウギー湖に向かう途中で正面を車で通過しているんですよ…なぜその時寄らなかったんでしょうかね、辺境なのでもう一度行くのは有り得なくて今さら後悔しています。

Monument to Kultegin

Griffin

これは一緒に旅行してる友達が大好きなグリフォン(グリフィン)、上半身が鷲で下半身がライオンです。でも一番かわいいのはイランのペルセポリスにいる子らしく、3年前に見に行っているのですが…まだブログに掲載できていないのでそのうちに。

Griffin

ラクダさんのランプ

かわいいと言えば、このラクダさんの人形が並んだ燭台に心奪われました。ブロンズ製で、紀元前7~紀元前2世紀ごろ、ジェティス地方の出土。

ラクダさんのランプ

カザフのユルト

カザフスタンの伝統的なユルトが展示されていて、ここで記念写真を撮ってみました!靴を脱げば入ってよいコーナーなので来たら見つけてみてください。

カザフスタン旅行記

カザフスタンの武器防具

時代が下ると記述も具体的になってきて展示のデザインも格好良さが増してきます。

カザフスタン 武器防具

下の鞘付き刀剣は割と最近、20世紀後半に作られたものです。

Sword with Scabbard

戦争捕虜となった日本人の記憶

大戦のコーナーもあり、旧ソ連なので当然戦勝国の立場で構成されています。
日本人抑留者が残してきたものがいくつか展示されていました。Karlag(カラガンダ強制収容所)1946年。

日本人抑留者

シベリア抑留者の証言は日本の平和祈念展示資料館がアーカイブを公開しており読みごたえがあります。ここカラガンダの体験を語ったものの一つとして「カラカンダでの抑留生活」を紹介しておきます。

絵画

National Museum of the Republic of Kazakhstan

アスタナ都市模型

アルマトイから1997年に遷都されたアスタナ。一つのホールを使って解説されています。これほど巨大な町の模型を初めて見ました。

アスタナ都市模型

テュルク諸国

パネルのみですがテュルク諸国機構(OTS)の構成地域を示したものだと思います。

テュルク諸国 Turkic World

ロケット

バイコヌール宇宙基地はカザフスタンに位置しますが、宇宙関連の展示はほとんどありませんでした。まぁロシアに貸与されていますからねぇ…

ロケット

感想

ミュージアム全体のデザイン性が高く、各ホールのテーマも偏らずに網羅的。ここでは触れていませんが、ソ連時代やカザフスタン独立後の近代史もしっかり整理されていました。解説も丁寧で、必ずカザフ語、ロシア語、英語の3言語で掲示されていて助かります。詳しい情報はQRコードからアクセスできたり、下の写真のようなオンデマンドで説明を視聴できるコーナーもあって知的好奇心を十分に満足させてくれると思います。あとは展示ケースのガラスが曇り一つなく磨き上げられていて見ていて気持ちが良かったです。

さすが中央アジアでもっとも経済発展しているカザフスタンですね、カザフスタン国立博物館はおすすめです。特別展や絵画のフロアを飛ばしても一時間半かかったので、時間に余裕を持って見学してみてください。そのほか市内の主な見どころは 未来都市、アスタナ観光 のページにまとめています。

カザフスタン国立博物館

プロフィール
Kitagawa

Kitagawa
南国のアイランドリゾートから地球の果ての辺境まで、4か国語の会話力を駆使して2008年から2025年までに100か国以上を旅しました!飛行機の搭乗歴は1000回を超え、2012年にはFAA(アメリカ連邦航空局)のパイロットライセンスも取得。バンコク在住。
当ブログでは今まで訪れた旅先から、写真を18746枚と心に残った体験を1197件公開しています。(2025.09.06)

2025年, '25 カザフスタン

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