01.18
「ハウルの動く城」のモデルの町、コルマール(フランス)
木骨組みと漆喰のおうちがまるでドイツのよう!アルザス地方を旅行中、コルマールに立ち寄って旧市街を散策しました。中世から残る町並みはどこかおもちゃっぽく、確かにファンタジーの世界を思わせます。
コルマールへの行き方
フランスの北東部、ドイツと国境を接するアルザス地方。
パリからだと、ストラスブールまでTGVで2時間前後、TERに乗り換えて所要30分です。
僕らは何度目かのフランス・スイス・ドイツ・ルクセンブルク・オランダ・ベルギー旅行中。空港内に国境があることで有名なユーロエアポート・バーゼル=ミュールーズ空港 から車でストラスブールに向かう途中に寄ってみました。
「ハウルの動く城」のモデルの町
コルマールは、ジブリ作品の「ハウルの動く城」制作のためにロケハンが行なわれたことでファンの間では有名なのだとか。以下はフランス観光局のXのポストですが、はっきり「モデルとなった」と書かれていますね。後述しますが、同作がコルマールに実在する建物を参考に作画したことは確実だと思います。
日本のアニメがコルマールの町並みを参考にしているのは間違いない、というブログの記事もみつけたのでリンクしておきます。アニメのシーンを使った“聖地巡礼”マップは必見です。
www.konjaku.fr/colmar-anime-japonais.html
コルマール旧市街
Colmar, France
ざっくり歴史を振り返ると、文献に初めてコルマールの名が登場するのが1226年です。十都市同盟(ドイツ語で Zehnstädtebund、フランス語だと Décapole)には1354年の創設時から参加しており、カール4世がコルマールに新しい憲法を制定しています。
アルザス・ロレーヌが何度もフランスとドイツを行ったり来たりしたのは高校の世界史で習った通り。コルマールは17世紀にフランスの保護領となり、1871年に今度はドイツ帝国に併合(フランクフルト講和条約)、1918年にフランス軍に占領され、第二次世界大戦でドイツに降伏しています。最後は激しいコルマールの戦い Pocket of Colmar を経て、1945年2月2日に“解放”されて現在に至ります。
主な見どころを下の地図に示しました。
観光案内所(地図の左上)から小ヴェニス(右下)まで、片道1kmほどの距離です。コルマール駅は西に位置し、旧市街までバスまたは徒歩15分程度です。
小ヴェニス
Petite Venise
コルマールで一番人気のスポットがロシュ運河に面して建ち並ぶカラフルな建物たち。
三角お屋根のおうちが川面に鏡写しになって美しいですね!
この日は曇り空なのが残念でなりません。
運河巡りのボートも人気のようです。
この一角はフランス語でキャハティエ・ドゥ・ラ・ポワッソヌリーと紹介されていました、魚屋街とでも訳しましょうか。解説を読むと、その歴史は14世紀まで遡るそうで、この辺りでは主にイル川で捕れたお魚を売っていたそうです。1706年の大火で地区の一部は破壊されたものの、全体が1978~1981年に改修され、現在は保全区域になっています。建物の形が今も昔の写真とまったく同じですね~
コルマール屋内市場
Le Marché Couvert de Colmar
小ヴェニスに隣接する大きな建物は、覗いてみるとマルシェでした。
観光の合間に市民に混ざってカフェやレストランで一休みするのに便利そうです。
www.marche-couvert-colmar.fr/
プフィスタの家
Maison Pfister
ロマンチックな外観が目を惹くこのおうちは16世紀のもの。
地上階の回廊、2階部分のフレスコ画、3階に張り出したバルコニー、とてもユニークで絵本に出てきそうな格好良さです。
実はこの建物、ほとんどそのまんまの姿で「ハウルの動く城」の中に登場しています!このページの冒頭に転載したフランス観光局のポストで引用されている映画のシーンと見比べてみてください。
旧税関
Koïfhus
旧税関はコルマールでもっとも古い公共建築の一つ。中世の街道だったグラン通りとマルシャン通りの合流点に位置しています。中央の建物は1480年に建てられ、隣接する建物は16世紀に増築されたもの。
とても傷んでいて19世紀に取り壊される予定だったものの、1895~1898年に改修されて現在の姿になっています。塔とタイルは当時のものが残っており、2002年の修復は欄干の復元に留められています。
下の案内は、この旧税関の前にある噴水についての解説です。
内容が実にフランスっぽいので思わず写真に残してしまいました(笑
神聖ローマ帝国の指揮官となってコルマール近郊のホーランズブールの地を与えられた Lazare de Schwendi は、噴水の像で自慢げにブドウを掲げている。これはハンガリー遠征で手に入れたトカイの木という伝説があるが、実際はアルザス産のピノ・グリに違いない(Kitagawaによる意訳)という、ドイツに対するライバル心が透けて見える気がするのは僕だけでしょうか?ちなみに肝心の噴水のほうは写真を撮り忘れました(汗
ドミニカ教会
Eglise des Dominicans
コルマール観光で最初に訪れたドミニカ教会を最後にご紹介。
着工は1283年で、屋根と回廊が1458年の火災で損傷を受けており、現在のバロック様式の装飾は1720年に加えられたものです。
見どころは、マルティン・ショーンガウアー Martin Schongauer の傑作、バラの茂みの聖母 La Vierge au buisson de roses。かつてサン・マルタン教会にあったものですが、1973年よりドミニカ教会が所有しています。一方、1475年頃にショーンガウアーのアトリエが制作した祭壇画は現在、ウンターリンデン美術館に展示されています。
コルマールには車で数時間立ち寄っただけなので、美術館やほかの教会までは見学できませんでした。あまり戦禍を受けていないコルマールにはルネッサンス時代の町並みが残っており、それらはアルザス地方特有の文化や様式を強く感じさせます。お天気が曇り空だったのが残念ですが…いずれまた再訪したいと思います。
見どころの情報はコルマール観光局のサイトを参照しているので、さらに詳しく知りたい方はリンク先をご覧ください。最新のガイドブックも無料でダウンロードできます!
L’Office de Tourisme de Colmar et sa Région
www.tourisme-colmar.com/fr/
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