2025
07.12
ANA B787-9ビジネスクラス搭乗記

ANAビジネスクラスB787-9スタッガードシート搭乗記(羽田バンコク線)

毎度お馴染み羽田バンコク線で全日空ことANAのB787-9型機ビジネスクラスに搭乗しました。就航時から変わらないシートを気に入っているのですが、機内サービスは簡素化の傾向が否めません。いよいよ来年、シートのリニューアルが発表されましたので、この機会に割と満足度が高かったかつての搭乗記と直近の体験を比較しつつ、ANAの変化に注目してみたいと思います。

当ブログでは過去に何度かB787型機のビジネスクラスを話題にしています。

今回取り上げるのと同じ789ではクアラルンプール線の ANAビジネスクラスB787-9搭乗記 やコロナ下で乗った ANAビジネスクラスB787-9搭乗記 で割と詳しくまとめたつもりです。また、781の ANAビジネスクラスB787-10搭乗記 や、788の ANAビジネスクラスB787-8クレードルシート搭乗記 では、B787のシートのバリエーションをご覧いただけます。

シートマップ

はじめにB787-9のシートマップを示します。
ビジネスクラスは全48席。一列ごとにシートが左右にオフセットされている スタッガード配列 です。フルフラットにした時の空間を有効に使える設計で、全席から通路にアクセスできます。

ANA 789 ボーイング787-900

それぞれのシートの独立感が高い反面、二人で並んで座った時の会話はしにくいレイアウト。同様に一列ごとにシートを左右にオフセットさせていても、例えば タイ国際航空A380ビジネスクラス では一列おきに中央のシートを隣接させてカップルや家族で旅行しやすく工夫している航空会社もあり、客層の違いが垣間見えますね。

羽田-バンコク
ANAビジネスクラスB787-9

それでは、かつてANAがシートだけでなくアメニティなどの小物や機内でのサービスにも力を入れていた時代の様子から見ていきます。2017年なので今から8年前のフライトになります。この頃は一往復で40万円を超える運賃を払っていた記憶ですが、今振り返ってもそれに見合う価値があったと思います。

ANAビジネスクラスB787スタッガードシート搭乗記

この時は急ぎの仕事で日本に飛ぶ必要があり、翌日の航空券だったので自分で探さずに手配をエージェントに任せました。電話一本、支払いは後日の請求書払い。いつも利用する日本航空やタイ航空には既に空席が無く、珍しくANAで発券されてきました…たまには普段と違う航空会社に乗るのも気分転換になって良いものです。
行きは満席だったので、帰りの羽田発バンコク行きで写真を撮影しました。

ANA チェックインカウンター

東京国際空港(HND)国際線ターミナル(当時)にてチェックイン。ちなみに「国際線旅客ターミナルビル」から「第3旅客ターミナルビル」に名称変更されたのは2020年3月のことです。少し日本に滞在したかったのですが…この後インドネシアに向かう必要があり、残念ながら仕事を片付けてトンボ返り。東京にはまた翌月や翌々月もトランジットで戻ってきます。

ANA 789 ボーイング787-900

セキュリティチェックと出国審査を終えて ANA LOUNGE に立ち寄りました。ここ羽田空港のスターアライアンス・ビジネスクラスラウンジに入るのはこの時が初めてだったので、その体験も当時ブログにまとめています。

シップはボーイングB787-900型機、略して789なんて呼ばれる機材です。
空席が目立つビジネスクラスキャビン、フレッシュな白色がいかにも全日空らしく感じられます。

ANAビジネスクラス搭乗記

ANA スタッガードシート

ANAビジネスクラスB787スタッガードシート搭乗記

ANAビジネスクラス搭乗記

ウェルカムドリンク

搭乗後まもなくおしぼりとウェルカムドリンクのサービス。
お飲み物の返事を一瞬ためらったら、提案されたのは意外にも日本酒でした。なかなか自分では選ばないので、ここは気持ちを切り替えるために話に乗ってみました。メニューに掲載の2銘柄の特徴を訊いて 宮寒梅 を選択。アミューズは4種類あり自分でトレーから取るのですが、日本酒にはチーズより枝豆の方が合ったかも知れません。

ANA ウェルカムドリンク

担当のCAさんは元気ハツラツ体育会系、そうそう青い翼はこんな勢いでした!
迷った時に間髪入れず提案が飛んでくるのもANAならではでしょう。終始サービスのテンポも良く、一方で消灯時は完全に放っておいてもくれる。ミドルホールのビジネスクラスとしてはちょうど良い距離感で、若手ビジネスマンに好まれそうな雰囲気ですね。

シート

今回のお席はこちら、180度水平になるフルフラットシート。
シートピッチは62インチ、幅21インチ。足元は広く、オットマンの下に物を置けるのも便利です。予めブランケットやスリッパのほか、寝る時に敷くマットレスも用意されていました。

ANA ビジネスクラス B787

ビジネスクラスだけでなく、プレミアムエコノミー、エコノミークラスにもそれぞれ新型シートが入っているようです。細部の作りは異なりますがANAではB787-800やB777-300ERでもスタッガードシートを導入しています。航空会社同士を直接比較するのはあまり好まないのですが、正直なところJALの767に入っているスタッガードシート SKY SUITE Ⅱ より居住性が良いように感じました。

シートコントローラー

操作は実にシンプルで、ドンディスのボタンも並んでいました。
固定されたサイドテーブルは大きく、アイマスクをしたまま手探りで物を探すKitagawaにも嬉しい広さ。メインのテーブルはくるりと水平に回転して出てくる仕様で、こちらの操作性も優れています。テーブルを出したまま席を立てるのも大切なポイントです。

ANA シートコントローラー

IFEのリモコンやUSBなどの各種ソケットは少し高めの位置に並んでいました。これなら席を立つときコードを引っかけることも無いでしょう。インフライトエンターテインメントはもちろんオンデマンドになっており、18インチの液晶スクリーンはタッチパネル式。すぐに寝るつもりが、つい邦画を見始めてしまいました。

ANA 機内エンターテインメント

アメニティ

機内アメニティはANAのコーポレートカラーの巾着袋に入っていました。
目的地がバンコクのため、当時はビジネスクラスのパッセンジャーにプレミアムレーンのクーポンが配られていました。ご丁寧にもプレミアムレーンの場所が示されたホルダーに入っており、初めての人にはどこで使えば良いのか分かりにくいだけに親切なサービスです。

ANA ビジネスクラス アメニティ

ビジネスクラス機内食

映画を見ていたら小腹が空いてしまい、なんと夜にラーメンを頼んでしまいました!
滅多にラーメンは食べないのですが、人のを見ると欲しくなるから不思議なもの。空の上のトンコツ「そらとん」と銘打たれており、一風堂ラーメン提供とのこと。

ANA ビジネスクラス 機内食

機内食は到着前に朝食が出ます。
JALと同じく搭乗時に和食・洋食の希望を用紙にチェックする方式で、朝は起こしてもらうことに。前菜は小烏賊のとび子和え、ニシンの昆布巻き、なます、青のり出汁巻き玉子。メインはブリの煮付けで野菜もたっぷり。俵御飯、味噌汁、香の物、フルーツが付き、器も美しいですね。朝からお腹いっぱいです!

ANA ビジネスクラス 機内食

東京・羽田空港 00:30発、バンコク・スワンナプーム国際空港 05:35着の NH849便。
復路は行きに比べて1時間半長い7時間のフライトのため、横になって眠っても映画を見たり機内食をいただく余裕があり、久しぶりに青い翼の空の旅を楽しむことができました。同じ路線でも航空会社が違うだけでこうも雰囲気が変わるものかと新たな発見の多かった夜行便。この路線の一番のオススメは タイ航空ファーストクラス で間違いありませんが、今後はJALだけでなくANAにも積極的に乗ってみたいと思います。

ANA ビジネスクラス B787

バンコク-羽田
ANAビジネスクラスB787-9

続いて、2025年現在の同型機ビジネスクラスの搭乗記です。
今年はこの路線を2往復半(5便に搭乗)しています。手荷物が100kgを超えるとJALを選ばざるを得ませんが、2月に公式サイトがセールを行なっていたのでANAの航空券も買ってみました。さらに 久しぶりに特典航空券でも席が取れた ので、ここではバンコク発羽田行きNH806便を取り上げます。フライトは BKK 7:10発、HND 15:05着の日中便で、機体のレジ番はJA885A。ちなみに見た目はANAですがクルーはLCCであるエアージャパンに丸投げされております。

バンコク スワンナプーム国際空港

バンコクのスワンナプーム国際空港はJALもANAもEコンコースの最果てまで歩かせるので本当にダルい。この空港で一番歩かなくて済むのはシンガポール航空で、現地発券だとSQも好んで使っています。

ウェルカムドリンク

早朝ですけどね、スパークリングワインをいただいてみました。
もはや開き直っているのでしょうか、プラスチック製のグラスから戻す気はないようです。お楽しみだったアミューズブーシュの提案も無くなってしまい、おつまみとして袋に入ったあられが配られます。とはいえ、バンコク線ではアミューズがアラカルトメニューに残っているので飛行中に頼めばいただくことも可能ですし、夜便だとまた対応が異なるのかもしれません。

ウェルカムドリンク

機内安全ビデオ

この黄色い虫さんの名前を思い出せませんが、機内安全ビデオはアニメかゲームのキャラクターが使われていました。各社凝ったビデオを作る中、いささか日本のそれは幼稚な気がします。

ANA 機内安全ビデオ

シート

座席が窓側にオフセットしている2Kに座ってみました。
寝るときに敷くベッドパッドも変わりましたね。最初見たときはあまりに薄くなって驚いたものですが、使ってみると通気性がよくて汗をかきにくくなかなか快適です。これは「エアーサイクロン」という商品らしく、スタッガードシートのみに導入されているそうです。枕や掛布団も北米ヨーロッパ路線と変わらないもの、よく休めると思います。

ANAビジネスクラスB787-9スタッガードシート

ANAビジネスクラスB787-9個人用モニタ

同じB787でも機種によってカラーリングに違いがありますが、この789が一番分かりやすいANAっぽさがあるんじゃないでしょうか。
シンプルで分かりやすいシートコントローラー。

シートコントローラー

機内アメニティ

アメニティは必要なパッセンジャーにだけ配布する方式になり、巾着袋も廃止されています。
大量にゴミが出るアメニティはもう時代の流れにそぐわないのでしょう。今回は記録するためにもらってみましたが、僕自身アイマスク・耳栓・歯ブラシなどは自分のものを持ち歩くようになりました。ちなみにロングホールでは現在もポーチに入ったアメニティキットが配布されています。

機内アメニティ

無くなるとさすがに困るのは使い捨てスリッパ。
こちらも細かい点ですがプラスチック包装から紙のバンドへと変更が見られます。

機内アメニティ

ヘッドホンとIFEのコントローラー。
ヘッドホンのメーカーはPanasonicで変わりませんが、一回り大きくなりヘッドバンドやイヤーパッドもしっかりしたものに変更されています。長距離で採用されているSONY製と同等とまではいきませんが、機内で映画を見ることを楽しみにしているので嬉しい改良点です。

IFEコントローラー

機内食

ラウンジで小さな麺を一杯作ってもらって食べたものの、朝早い便なのでこれが朝食になります。
機内食は、見た目・味・量ともに昔より良くなっているように感じます。なんだかんだ言って、やっぱり日系のキャリアは安心感がありますね。

ANAビジネスクラス機内食

ANAビジネスクラス機内食

ANA搭乗記ブログ

メニュー

次に無くなるのは紙のメニューじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
バンコク線ではこちらから呼んでまで軽食を注文することは滅多にありませんが、せっかくアラカルトを作って飛行機に積んでいるなら適当なタイミングでクルーがおすすめしても良いかもしれません。手間は増えますがコストはかからず、フードロスも減らせるはず。エアージャパンのクルーの場合、この辺りの意識というか余裕はあまり無いように感じられます。

ビジネスクラス ワインリスト

ANAビジネスクラス機内食メニュー

という感じで、当ブログに残るANAのB787-9型機スタッガードシートとしてはもっとも古い搭乗記と割と最近の今年のフライトを一つにまとめてご紹介してみました。こうしてみると、簡略化しつつも時代の要求に合わせて結構工夫していることに気付かされます。一方で、たまにではありますが実際にANAで空を飛んでいる身からすると、やはり昔に比べてフライトが“つまらなく”なっていると感じます。誤解なきように書いておくと、決して特別な対応を求めているわけではありません。きっと、プラスチックのグラスのような小さなことが積み重なって、安っぽさにがっかりしているのだと思います。ミドルホールでは、ビジネスクラスと言えども旅を楽しむというよりは単なる移動手段と割り切るべき時代なのかもしれません。

さて、ANAは2025年6月17日、来年度からB787-9に新型シートを導入する計画を発表しました。まずは欧米路線からとなりそうですが、THE Room FX と呼ばれるシートはまるで個室のよう。きっとサービスにも力を入れて来ると思うので、こちらも機会を作って体験してみたいと思います。
www.nikkei.com/article/DGXZQOUC177OW0X10C25A6000000/

更新履歴

2017年2月16日 公開
2025年7月12日 写真15枚追加、全体再構成

プロフィール
Kitagawa

Kitagawa
南国のアイランドリゾートから地球の果ての辺境まで、4か国語の会話力を駆使して2008年から2025年までに100か国以上を旅しました!飛行機の搭乗歴は1000回を超え、2012年にはFAA(アメリカ連邦航空局)のパイロットライセンスも取得。バンコク在住。
当ブログでは今まで訪れた旅先から、写真を18366枚と心に残った体験を1169件公開しています。(2025.07.13)

2025年, 2017年, '17 タイ, '17 日本, '25 日本, '25 タイ

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