氷河特急 Glacier Express (スイス鉄道旅行記)

2012年以前, '12 スイス Add comments

氷河特急

今日はスイスの鉄道、氷河特急 をご紹介します。
世界でも有数の景勝ルートを走り、その一部は世界遺産にもなっているほど。鉄道ファンならずとも一度は乗ってみたい電車の一つです。大きなパノラマの窓から眺める変化に富んだ大自然はもちろんのこと、優れた鉄道技術も見逃せません。

グレーシャーエクスプレス(氷河急行・氷河特急)

スイスは鉄道網が発達しており、景勝路線もたくさんあります。その中でも特に人気を集めているのが グレーシャーエクスプレス Glacier Express です。日本では「氷河特急」や「氷河急行」の名で知られています。
これはサンモリッツからツェルマットまで、レーティッシュ鉄道とマッターホルン・ゴッタルド鉄道の路線を通しで運行するもの。その始まりは1930年まで遡ります。

氷河特急 切符予約

2006年には新型車両「プレミアム」が導入され、2008年には路線の一部が世界遺産に指定されています。そろそろ乗らねば!と思いつつ、2012年のヨーロッパ旅行でようやく日程に組み込むことが出来ました。全区間に乗車するとなると8時間もかかりますが、そうそう乗る機会もありませんので丸一日かけて氷河急行を楽しむことにします。

なお、乗車するにはスイスパスなどの乗車券を持っていても、別途「座席指定券」が必要です。Kitagawaは現地で切符を購入することが多いのですが、この氷河急行に限っては事前に日本から予約しました。

サンモリッツから氷河急行に乗車

始発はスイスを代表するリゾート地の サンモリッツ St. Moritz です。
山には雪が残り、湖にも氷が張って、町は凛とした静けさを湛えていました。もう少し暖かくなると、観光客も増えて町が賑やかになることでしょう。

サンモリッツ

スイスでは鉄道での旅行が大きな目的ということもあり、駅前のホテルに宿泊しました。
朝お部屋から外を見てみると、既に駅には氷河特急が入線しています。さっそく駅まで見に行ってみます。

Glacier Express グレーシャーエクスプレス

スイスの国旗と同じ、赤と白のデザインです。ボディはピカピカ、かっこいい!思わず帰国後に氷河特急の鉄道模型を買ったほどです。
そうそう、サンモリッツからはベルニナ特急という、これまた絶景尽くしの鉄道も走っています。昨年はイタリアからスイスまでベルニナ特急にも乗りましたので、またの機会にご紹介しましょう。

スイス鉄道旅行記

グレーシャーエクスプレス 903号、9時02分の発車です。
一等車の座席は1列と2列のゆとりある配置。車両の両端にはコート掛けや荷物置き場もありました。お席にはパンフレットの他、イヤホンも用意されています。これを座席横に差し込めば、沿線の見どころの解説を日本語で聞くことができます。

氷河特急

食堂車も連結されていました。
ヨーロッパの鉄道では車内のバーで飲んだくれていることが多いKitagawaですが、氷河急行では現在お食事はシートサービスになっています。

スイス 鉄道 列車 電車

さて、最初はRhBことレーティッシュ鉄道のアルブラ線を走ります。
列車の先の方を見ると、氷河特急の前にはレーティッシュ鉄道の普通列車が連結されています。そう、特急と言いながら、実は速度は普通列車と変わらないのです。しかも、平均時速は37km!世界で最も遅い特急列車かも知れませんね。

氷河急行

プレダからベルギュンの間は、山の中を縫うように走ります。
この区間の最大勾配は35パーミルもありますが、ラックレールを使わずにループトンネルをぐるぐると回りながら高低差を乗り切ります。気づけば先ほど真下に見えていた線路を走っていたり、ふと見上げるとさっきまで走っていた橋が随分と高いところに見えたり。いくつものトンネルや橋を次々と駆け抜け、どんどん高度を落としていきます。

レーティッシュ鉄道

この区間は車窓からの眺めの美しさだけでなく建築技術の高さもあって、2008年にユネスコ世界遺産に登録されています。路線図を見ると、面白いくらい線路がぐるぐる回っているのが分かるかと思います。

そしてトンネルを抜けて目の前に飛び込んできたのは、ベルギュンの町。思わず途中下車したくなってしまいますね!

氷河急行

スイスではさんざん途中下車しまくって、旅行の予定が大幅に遅れています。そのくらい心奪われる景色が多いのです。

ラントヴァッサー橋をゆく氷河特急

ベルギュンを出た後も、トンネルや陸橋が続きます。いったいいくつトンネルを抜けたのか分からなくなってしまいますが、ここで気を抜いてはいけません。かの有名な「ラントヴァッサー橋」を通るのは一瞬です。

ラントヴァッサー橋

こちらが、ラントヴァッサー橋を走り抜ける氷河特急です!
と言っても、この写真では橋の凄さが分かりにくいですね。という訳で、逆方向のサンモリッツに向かう列車から撮影したラントヴァッサー橋の写真を掲載しておきます。

スイス鉄道の旅

どうです、凄い光景でしょう?
なんと川から65mもの高さがある石橋が、断崖絶壁にぽっかり開いたトンネルに吸い込まれていくのです。100年以上も前に、こんなところに鉄道を敷いてしまった技術力に驚かずにはいられません。

この後も数々の橋を渡り、駅に停まったり古城を望んだりしつつ、氷河急行は走り続けます。

Glacier Express グレーシャーエクスプレス

車内の座席は向かい合わせで、一等車は片側が1列、他方が2列になっています。固定されたテーブルは折り畳み式になっていて、食事のときは広げることができます。ちなみにレール幅はちょうど1,000mmです。ヨーロッパで標準の1,435mmより狭いだけでなく、日本の在来線の1,067mmよりも狭くなっています。座席が両側2列である二等車だと、長時間の乗車は窮屈かも知れません。

氷河急行

写真はライヒェナウ・タミンスのあたり。
ここはフォルダーライン川とヒンターライン川の合流地点でもあり、車窓からは美しい川の流れが見られます。

氷河特急 スイス

午前11時過ぎ、クール Chur の駅に到着しました。
ここで氷河特急の前にくっついていた列車が切り離され、先頭車が代わります。

氷河特急

ここから乗り込む乗客も多く、いよいよ車内も賑やかになってきます。
クールの駅は11時15分の出発。来た路線を戻るため、進行方向が反転します。

氷河急行 スイス

Kitagawaは世界中どこに行く時もガイドブックはほとんど使わないのですが、さすがに乗車時間が長いので今回は何冊か持ってきました。スイスの鉄道旅行についてはダイヤモンド社の「スイス鉄道の旅」が詳しく、本稿の記事も同書を参考にしています。

スイス 鉄道旅行

ちなみに100か国以上を旅行したKitagawaが皆さまにおすすめするガイドブックは「るるぶ」だったりします。(笑

氷河急行の車内でお昼ごはん

正午を回ったころ、車内では昼食のサービスが始まります。
ランチのメニューは「ゲシュネッツェルテス」、薄切り仔牛肉を煮込んだスイスの郷土料理です。大皿から豪快によそってくれました。

氷河特急 スイス

デザートはティラミス、そして食後酒にはグラッパをいただきました!
ちょっと前までイタリアにいたので、ティラミスにグラッパでの〆は大満足です。

スイス鉄道の旅

ちなみにKitagawa、この後もワインをかなりいただきました。
おいしいお酒を飲みながら、楽しいおしゃべりに美しい景色、やっぱり旅は最高です!

氷河急行 スイス

さて、サンモリッツからゆっくり下ってきましたが、この先は一転して上りとなります。
しかも相当な傾斜で、最大勾配はなんと70パーミル!下の標高を表した図をご覧いただくと、氷河特急の走る路線がいかに起伏が大きいのか分かるかと思います。

氷河特急路線図

12時半、ディセンティス・ミュンスター駅 Disentis/Mustér に停車。
ここで先頭車を切り離し、向こうで待機していた機関車に交換されます。

氷河急行

素晴らしい手際の良さ、僅か2分で完了です。
鉄道ファンとしては見逃せない一コマですが、わざわざ降りて見物していたのは僕だけでした。(笑

氷河特急

急な傾斜を昇るため、線路もラックレールが登場です。
車輪だけだと滑ってしまうため、線路の中央に刻まれた凹凸に歯車を噛み合わせて走るのです。

ラックレール

どんどんと標高を上げて、周りも雪景色に変わっていきます。

雪山をゆくグレーシャーエクスプレス

最高地点の駅は オーバーアルプパスヘーエ駅 Oberalppasshöhe、標高は 2033mです。
駅から眺めた景色は一面の雪!実は大きな湖があるのですが、湖面に張った氷に雪が積もって、まるで雪原のようになっているんです。

氷河 雪原

湖があるはずの雪原を左手に見ながら、今度は下り勾配が始まります。
そうそう、窓にはカーテンが無いので、お天気が良いと相当な日差しです。日焼け止めとつばの大きな帽子は必ず用意しておくことをおすすめします。

氷河急行

お隣に座っていたのは日本人のご夫婦。
ン十年前に新婚旅行でスイスに来て以来、いつかまた来たい!と思いつつ年月は流れ、ようやく今回念願のスイス旅行に来られたとのこと。お互い日程に縛られない自由旅行の身でしたが、どういう訳かこの後もスイス国内のあちこちで再開し、色々なお話をさせていただきました。

グレーシャーエクスプレス

今回の旅行では、雪景色を眺めたりスキーをしたりチーズフォンデュを食べたり、冬のスイスを満喫しました。次回はぜひ夏のアルプスでハイキングを楽しみたいと思います。

午後1時52分、一気に600mも標高を下げて、アルプスの要衝 アンデルマット Andermatt に到着です。

グレーシャーエクスプレス

さて、この後も数時間に渡り鉄道の旅は続くのですが…
お腹もいっぱいになったせいか、車内ではうたた寝する人がちらほら。

スイス旅行記

新フルカトンネルやフルカ峠、ローヌ渓谷やフィスパ川沿いなどの名所を走り抜けて行きますが、あまりに写真が多いので沿線のご紹介はこの辺で。
前述の通り、詳しい説明は座席備え付けのイヤホンを通して日本語で聴くことができます。

氷河急行、ツェルマットに到着。

午後5時過ぎ、ツェルマット Zermatt に着きました。
乗車時間は実に8時間!楽しかったけど、やっぱり少しばかりの疲れを感じつつ、氷河急行を下車します。

ツェルマット

ツェルマットと言えば名峰マッターホルンの麓の町。
この後、マッターホルン・スキーパラダイスでスキー三昧の日々を過ごします。

マッターホルン

スイスは、ここでご紹介した氷河特急の他にもベルニナ特急やゴールデンパスラインなどの人気路線や、たくさんの登山鉄道があります。いずれも極めて時間に正確に運行されており、駅のインフォメーションも親切なので、ぜひスイスでは鉄道の旅を楽しんでみてください。また写真の整理が進みましたら、他のスイスの鉄道も記事にしたいと思います。

氷河特急

※ 日本では「氷河特急」と「氷河急行」の使用割合がほぼ同数のため、文中では両方の単語を混ぜて使用しました。

“氷河特急 Glacier Express (スイス鉄道旅行記)”へのコメントが 2件あります

  1. 東人 Says:

    今年はスイス・氷河特急に乗る予定でしたが、お得感に負けてアラスカ・氷河湾クルーズに替えました。
    アラスカ同様、氷河は溶ける一方ですので、スイスにも早めに行きたいと思います。
    いつも実用的で楽しい旅行記をありがとうございます。

  2. kitagawa Says:

    東人さん、いつもコメントありがとうございます。
    アラスカのクルーズはどのような感じでしたか?久しく船に乗っていないので、大変興味があります。日本から通しでご手配されたのでしょうか、あるいはフライトは別切りで現地発のものを直接予約されたのでしょうか。お暇な時にでも、所要日数や参加者の雰囲気などお教えいただければ幸いです。
    ちなみに氷河特急は日本人ツアー客に人気と聞いており、乗車がゴールデンウィークに近いこともあって「はとバス状態」を覚悟していったのですが(笑
    紳士的な日本人ご夫妻がちらほらという感じで非常に和やかなムードでした。

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